沖縄の観光・旅行

アイスワーラー、ミクダーノって何?“アメリカだった沖縄”を感じる「沖縄イングリッシュ」という文化

沖縄には沖縄の方言と米軍統治時代の英語がミックスした「沖縄イングリッシュ」という独特な言葉があります。アイスワーラー、ミクダーノ……沖縄の生活に根付いている沖縄イングリッシュについて、現地在住の筆者が紹介します。

稲嶺 恭子

執筆者:稲嶺 恭子

シンガポール・沖縄ガイド

沖縄には沖縄独自の英語があります! (C)OCVB

沖縄には沖縄独自の英語があります! (C)OCVB

沖縄には「ウチナーグチ」と呼ばれる方言があります。ウチナーグチは言葉も発音も独特なので、地元の人でもオジィやオバァの話す方言を理解するのが難しいときも。そんな沖縄の独特な言葉の中に「沖縄イングリッシュ」と呼ばれるものがあります。

「沖縄イングリッシュ」とはその名の通り、沖縄の英語のこと。「ウチナー英語」などとも呼ばれるのですが、沖縄の方言の英語版という感じでイメージしていただければと思います。この沖縄イングリッシュ、最近ではオジィやオバァが使っているのを耳にすることも少なくなりました。若い世代ではほとんど使われなくなってきていますが、そのまま定着して今も日常で使われている言葉もあります。今回はそんな、沖縄イングリッシュについて紹介します。
 

流ちょうな英語とゴリゴリの沖縄方言がミックス

これは「エンダー(A&W)」のルートビア (C)OCVB

これは「エンダー(A&W)」のルートビア (C)OCVB

まずは、沖縄イングリッシュの代表的なものをご紹介します。皆さんは何を意味しているものか分かりますか?

アイスワーラー
コーヒーシャープ
モーターシャープ
トゥーナー
エンダー
ミクダーノ
パーリィー

答えは、アイスワーラーはアイスウォーター、コーヒーシャープはコーヒーショップ、モーターシャープは自動車修理工場、トゥーナーはツナ、エンダーは沖縄にあるファストフード店のA&W(正しくはエイアンドダブリュ)、ミクダーノはマクドナルド、パーリィーはパーティーのことです。

文字で説明されると理解しやすいと思いますが、実際に現地で聞くと「?」となる人も多いと思います。しかも、オジィもオバァも、沖縄イングリッシュの部分だけ妙に発音が良いのもポイント。

「アイスワーラーもらおうねぇ」

と、オジィやオバァが発すると、流ちょうな英語とゴリゴリの沖縄方言がミックスされているのが、とてもカッコ良い!

水は英語で読むと「アイスウォーター」ですが、オジィやオバァは決してそのように発音しません。あくまで水は「アイスワーラー」。ツナ缶は絶対に「トゥーナー」。決してツナとは言いません。これには諸説あるようですが、筆者が教えてもらったのは「耳から覚えた“耳英語”だからさぁ」ということでした。
 

米軍統治化時代の影響も

沖縄には今も米軍統治時代の雰囲気が残る風景がある (C)OCVB

沖縄には今も米軍統治時代の雰囲気が残る風景がある (C)OCVB

太平洋戦争後の米軍統治化時代の沖縄には、今よりも多数の米軍関係者がいました。そのためこの時代には、アメリカの食や文化も流入。それも相まって、沖縄には沖縄独自の文化がいまだに根付いています。沖縄イングリッシュもそのひとつ。実際に当時、耳で聞いたままのネイティブな英語を、沖縄方言を話す沖縄人が発したものが沖縄イングリッシュになっているという説が有力なんじゃないかと筆者は考えています。
 

“アメリカだった沖縄”を感じる

ポークたまごのポークは、どのメーカーのものも「ポーク」 (C)OCVB

ポークたまごのポークは、どのメーカーのものも「ポーク」 (C)OCVB

ところでこの沖縄イングリッシュ、書き文字としてそのまま使用されていることもあります。歴史の長いお店に行くと、今もその名残を感じるメニュー表を目にすることもあり、こちらもおもしろいです。

例えば、下記のようなメニュー名があります。こちらは音だけ聞くのと違って、なんとなくどんなものか分かるのではないでしょうか?

ハムエグ
ストゥ
スパゲリー
フライライス
ハットソース
ワイファー

答えは、ハムエグはハムエッグ、ストゥはシチュー、スパゲリーはスパゲッティー、フライライスはチャーハン、ハットソースはホットソース、ワイファーはウエハースのことです。沖縄の食堂などでは、フライライスをオーダーし、ハットソースをかけて食べたりしますので、フライライスというメニューは目にすることが多いかもしれません。

さらに、英語の言葉や商品名などが、そのまま日常で使われているというパターンもあります。

例えば「ペイデイ=給料日」。軍関係者は給料日のことをこう呼ぶそうです。今でも、アメリカ軍関係者が多くいる地域では、スーパーでペイデイセールという名のセールをしたりしています。「今日はペイデイだから、忙しくなりそうだねぇ」という感じで、自分たちの給料日のことではなく、軍関係者の給料日=お客さんのお財布があたたかい日、というイメージで使われていたようです。

他には「コルゲート=歯磨き粉」も。1972年の本土復帰前までは、沖縄ではほとんどの家庭でコルゲートというアメリカブランドの歯磨き粉を使っていたのだとか。そのためコルゲートといえば歯磨き粉というイメージが定着し、オジィ、オバァではいまだに使っている人も。本土復帰後は、当時の日本の薬事法に適さず輸入できなくなりシェアも縮小。現在は取り扱いがなくなっています。

また、「カルテックス」はガソリンスタンドのこと。カリフォルニア・テキサス石油会社の略称で、米軍統治下の沖縄の石油供給権を独占していました。そのため、ガソリンといえばカルテックスがそのまま定着。現在は、ほとんど使われていません。

「オプナー=缶切り」。「オプナー持っておいでねぇ」と言われたら缶切りを持っていきます。

「ポーク」はポークランチョンミートのこと。どのメーカーのものもこう呼びます。

深堀りすればするほど、沖縄の歴史が見えてくる沖縄イングリッシュは、沖縄独特のチャンプルー(混ぜこぜ)な文化のひとつ。味のあるあの発音の沖縄イングリッシュを耳にすると、オジィやオバァが若かりし頃の“アメリカだった沖縄”が、少し見える気がします。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます