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株価上昇が期待できる化学業界のコア企業とは?

化学業界のコア企業として注目の企業です。米塩ビ事業、半導体シリコン事業の想定以上の収益拡大、電子・機能材料の伸長等から大幅増収が見込まれ過去最高営業益更新も視野に入ってきました!

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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世界トップシェア製品を複数展開する化学業界のコア企業

信越化学工業(4063)は化学業界のコア企業として、ロックオンしておきたい企業です。  米塩ビ事業、半導体シリコン事業の想定以上の収益拡大、電子・機能材料の伸長等から大幅増収が見込まれ、2007年以来の過去最高営業益更新も視野に入ってきました。

信越化学工業(4063)は化学業界のコア企業として、ロックオンしておきたい企業です。 米塩ビ事業、半導体シリコン事業の想定以上の収益拡大、電子・機能材料の伸長等から大幅増収が見込まれ、2007年以来の過去最高営業益更新も視野に入ってきました。


信越化学工業<4063>は塩化ビニル樹脂、半導体シリコンウエハー、シリコーン樹脂、希土類磁石などを主力商品とする化学メーカー。塩化ビニル樹脂、半導体シリコンウエハーなど複数の製品で世界シェアトップをとっており、化学業界のコア企業といえるポジションを構築しています。

同社は生産設備や研究施設への投資で成長基盤を強化しながら成長を遂げています。それが良くわかるのが300mmウエハの早期増産に向けた1200億円もの追加設備投資です。まだ200mmが主流の中、同社は需要増を見込んで他社に先駆け増産体制に着手しました。

同社の読み通り、半導体ウェハの主流は300mmとなり、同社は世界で圧倒的シェアを握っています(ちなみにこの設備投資については、先見性だけではなく、コスト管理能力の高さも評価されます。同社はこの設備投資の減価償却を5年から3年に短縮しました。

そもそも7年ほどかける減価償却を3年でやってのけたことになり、後々、リーマンショックによる世界不況、半導体不況時における苦しい時期でも黒字を維持できた能力に繋がったのではないかと思います)。

今期は1,800億円の設備投資が計画されており、前期から23%の増額です。外部公表ベースでみると、シリコーンのタイおよび日本の生産能力増強(タイ5割強2018年内完成、日本4割強2017年夏まで完成)に400億円、セルロース工場新設(生産能力1.5倍。2015年末完成)に1.2億ドル、セルロースの生産能力増強に200億円(2019年上半期完成予定)。

電子機能材料では、レアアースマグネットの工場新設(1.5倍、2016年末完成)に120億円、生産能力増強に+50億円(18年上半期)、フォトレジストに130億円(2018年下期完成予定)、マスクブランクスに70億円(2016年末完成)、光ファイバー用材料工場に180億円(2018年後半)など、事業ポートフォリオ全体を強化していることがわかります。

汎用品でも高収益体質の米シンテック社、さらなる強化へ

同社の主力事業、塩化ビニル樹脂の根幹を担っているのが米国子会社シンテック社です。世界最大の生産能力を有するトップメーカーです。シンテック社の塩ビ生産能力は、操業を開始した1974年当時の10万トンから2015年末には295万トンにまで拡大。

30万トンの増強が完了した2015年以降も2016年、2017年と増強を続けています(建設資材としてインフラ整備に利用される塩化ビニルの世界需要量は年間4000万トンに上ります)。

そして2018年半ばの完成を目指して建設しているのがエチレンクラッカー(エチレンの自社生産工場)です。総額14億ドルの大規模投資で目指すのは、原料から塩化ビニル樹脂の一貫生産体制。これまで外部調達していたエチレンの自社生産が可能となり、全ての工程を内製化します。

ところで、塩ビの原料は、エチレンと塩水を電気分解して得られる塩素です。シェールガスを産出する北米での生産だと、エチレンはシェールガスからとれるエタン(安価)を、塩素には岩塩を使用(日本での生産だと輸入しなければなりません)するといいますから、原料コストが安く済むわけです。

また、米国の電気料金は日本の約半分と光熱費も安くなります。塩ビは汎用品のため、コスト削減が競争力強化の必須条件となりますが、コストは生産一貫体制メリットを相殺できる見込みです。同社では、常に数千億円規模のキャッシュが保たれていますが、これが機動的な投資に役立っているようです。

半導体:強い需要、ムーアの法則の限界も手伝って需給はさらにタイトに

同社は半導体シリコンウェハで世界の約40%のシェアを握るトップメーカーで、半導体関連として常に注目されています。それゆえ、半導体市況やウェハ価格の動向に業績が左右されるわけですが・・・今の、いえ、2021年頃までの半導体業界の事業環境はすこぶる良い状況が続く見通しです。

先日のSUMCO(3436)のレポートでもお話しましたが、押し寄せる機械化・IT化の波によって、半導体需要は増大しておりその基となるウェハがフル生産でも追いつかない状態となっています。特にスマホやデータセンター向けに使われる300mmウェハの需給はひっ迫状しており、今後2年間で40%強の価格上昇が予想されています。

SUMCOでは、2019年下期には世界中で月60万枚強が不足すると試算しており、増産効果と値戻りによる利益率改善が期待できるとお話ししました。今回の信越化学工業においても同じような価格上昇の恩恵を享受することができます。また、同社の場合は、19年後半には増産効果も寄与してくることから、価格上昇メリットを早い段階から受けることになりそうです。

塩ビ・半導体ウェハの想定超えの収益拡大を見込み新たな高みが見えてきた

業績は絶好調。見通しも明るく、主力の塩ビ事業、そしてそれに並ぶ事業となってきた半導体シリコン事業の、想定を超える収益拡大が見込まれます。半導体ウェハ価格の上昇と増設効果による収益拡大に加え、その後にも塩ビ事業の一貫体制構築によるメリットを享受することができると見ています。

2017年9月30日時点の財務状況は、自己資本比率が80.6%、有利子負債159億7900万円。現金等7857億円を考慮すると実質無借金。流動比率は5倍、固定比率も0.5倍、総資産の28%をキャッシュが構成するという盤石の内容です。

投資は拡大基調にありますが、それでもネットキャッシュは2018/3期以降1兆円を超えていく見通しであり、今後の株主還元拡大やROE(株主資本利益率)改善に対する施策が打たれる可能性に期待したいところです。ROIC(投下資本利益率)は、15%程度まで上昇してきた一方、ROEはまだ10%程度(17/3期実績ROEは8.5%)となっており、サヤ寄せが期待されます。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。

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