SUZUKI(スズキ)/スズキ

新型スイフトの仕上がりとライバルとの違いは?

スズキ・スイフトが昨年末にフルモデルチェンジを受け、年明けから販売されている。スズキの登録車でエース的存在であるスイフトを中心に、昨年マイナーチェンジを受けたデミオ、今年1月にマイナーチェンジを受けたばかりのヴィッツを織り交ぜながらお届けする。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

新型スズキ・スイフトが登場

新型スズキ・スイフト

新型スイフトの価格帯は134万3520円~184万5720円


フルモデルチェンジを受けた新型スイフト。2000年登場モデルを初代とすると4代目になるが、スズキは2004年登場のスイフトを初代と位置づけている。スズキの位置づけだと先代となる2代目は2010年9月発売、そして2016年末に発表され、今年の初売りから販売されているのが3代目だ。

2016年11月末時点で、世界累計販売台数530万台というスズキの登録車(軽自動車をのぞいたモデル)のエースであり、プレス向けの発表会では鈴木俊宏社長社長からも「フラッグシップ」というキーワードが飛び出すなど、スズキの登録車では看板車種になる。

新型スイフトの走りは?

新型スズキ・スイフト

右が新型スイフトで左側がマツダ・デミオ。スイフトのボディサイズは全長3840×全幅1695×全高1500mm。車両重量は860kg~970kgで、軽自動車のハイト系並に収まっている


新型スイフトでは、Sエネチャージから改めてマイルドハイブリッドを名乗る27.4km/Lのハイブリッド仕様(1.2Lの直列4気筒エンジン+モーター)のほか、同じ1.2L 直列4気筒NAエンジン、1.0Lの直列3気筒直噴ターボを設定。ハイブリッドはCVT、1.2L NAはCVTと5MT、1.0Lの直噴ターボのみ6ATとの組み合わせになる。

走りの印象は、グレードやパワートレーンの違いを問わず、非常にしっかり感があるというもの。

新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」の採用により、アンダーボディを30kg、車両重量を120kg(グレードにより異なる)も減らしたというダイエット効果は、軽快感に直結していて、1.2Lの自然吸気エンジン(91ps/118Nm)でも非力な印象は受けない。軽量化によりトルクウェイトレシオが向上し、力強さが増したという謳い文句は確かに感じられる。

一方で軽くすると、乗り心地の面では(あくまで一般論だが)、不利になることもある。しかし、新型スイフトは、ボディのしっかり感が十分に伝わってきて、ドライバーとの一体感も強く抱かせてくれる。「スイフト=欧州仕込みの走り」という方程式は新型でも健在で、街中から高速まで走りを楽しめるコンパクトカーに仕上がっている。

新型スイフトの課題とは?

新型スズキ・スイフト

スポーティで質感向上が図られた新型スイフト。新型ワゴンRに初めて設定されたヘッドアップディスプレイは残念ながら未設定


課題は音・振動面、乗り心地だろう。パワートレーンを問わず街中で多い低速域において「こもり音」が車内にやや大きめに侵入してくるし、軽快なフットワークが得られている反面、やや乗り味も硬めになっている。

乗り心地は人により好みもあるだろうが、音・振動面は改善されるのがもちろんベター。スズキの担当者によると、低速域の「こもり音」と後席の音・振動面(乗り心地も含む)は把握しているそうだから今後の熟成を期待したいところだ。

とはいってもこうした点は、文字どおり重箱の隅を突っつくような惜しい点に過ぎず、国産コンパクトカーの中でも「走りのスイフト」の価値は揺らいでいない。

マイナーチェンジを受けたマツダ・デミオと比べると?

マツダ・デミオ

マツダ・デミオは全長4060×全幅1695×全高1550mmで、スイフトやヴィッツよりもかなり長めだ


さて、ライバルはどうだろうか。昨年マイナーチェンジを受けたマツダ・デミオの美点は、静粛性と乗り心地の大幅な向上で、ガソリン車はもちろん、ディーゼルエンジンでも音・振動面で不満を抱かせない。

また、高速域のスタビリティの高さも美点で、良好な乗り心地も含めてスイフトよりも全長が220mm、ホイールベースも120mmも長い利点を感じさせる。一方でデミオは、ディーゼルはトルクフルだが、ガソリンはやや非力(よく回るエンジンだが)なのが少し物足りない点だろうか。

国産コンパクトカーといっても車両重量、そしてボディサイズで2つから3つ(Aセグメントクラスで1つ、Bセグメントクラスで2つ)まで細分化できるから、同じBセグメントとはいえデミオとスイフトを比較するのはフェアではない。それでも実際には比較する人もいるだろうし、各車(各社)強みをハッキリさせることが欠かせない。その意味ではデミオとスイフトの個性は明確で非常に面白く感じる。

待望のハイブリッドを追加したヴィッツ

新型トヨタ・ヴィッツ

2017年1月にマイナーチェンジを受けたトヨタ・ヴィッツ。価格は118万1520円~223万7760円。ボディサイズは全長3945×全幅1695×全高1500mm。全長はデミオよりは短いが、スイフトよりも105mm長い


また、2017年に入ってマイナーチェンジを受けたヴィッツにも試乗する機会があったので簡単に報告しよう。目玉はアクアだけでなく、ヴィッツにもハイブリッドを!!  という販売店やお客さんなどのリクエストに応えたもので、ハイブリッドの新設定はまさに待望といえる。

アクアのハイブリッドを基本としながらも、エンジンでは燃焼効率の向上、低フリクション化、パワーコントロールユニットの損失低減などが盛り込まれていて、駆動バッテリーを後席床下に配置することで居住性もガソリン車同等としている。さらに、ダンパーのバルブを変更して操縦安定性、乗り心地の改善を図るなど、「TNGA」の技術を先取りすることで進化させているのが注目点だ。

新型トヨタ・ヴィッツ

乗り心地を含めた走りでは1.3Lのガソリン車のバランスの良さが印象的だ


さらに、ボディへのスポット打点打ち増しや、フロントウインドウシールドを高剛性化するなど、静粛性やハンドリングにも磨きをかけたとしている。

実際の走りは、2014年春のマイナーチェンジでも感じられた剛性感の高さがさらに増した印象で、とくにガソリン車は重量が軽いこともあってフットワークは軽快で、しかも乗り心地も最も良く感じた。

ハイブリッドはボディの下側が重く、とくに16インチ、15インチ装着車は路面によっては上下左右に揺すられるのも気になる。もし、燃費はあまり気にしないのであればガソリン車を選ぶのが走りの面ではベストかもしれない。

動力性能の面では試乗した1.3Lガソリン、1.5Lガソリン+モーターのハイブリッドもとくに不満は感じさせない。注目のハイブリッドはスムーズな加速フィールで、エンジントルクの谷間をモーターがアシストするタイミングも絶妙だ。

駆け足で新型スイフト、そしてマイナーチェンジを受けたデミオ、ヴィッツを比べてみたが、国産Bセグメントのコンパクトカーは着実に進化している。高速道路でもドライバーがストレスを覚えることも減っていて、ファーストカーとしても十分に納得できるところまで到達しつつあるのは朗報だろう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます