シンガポール/シンガポールのグルメ・レストラン・屋台

シンガポール料理をおしゃれに!ナショナルキッチン

今注目の新スポット、ナショナルギャラリーにオープンした、著名な料理研究家、ヴァイオレットオンさんによる2号店。歴史的建造物でもある、マリーナベイサンズを望む美しい建物の中で、プラナカン料理とシンガポール料理が楽しめます。

仲山 今日子

執筆者:仲山 今日子

シンガポールガイド

初代首相リークワンユーのスピーチも行われた歴史的建造物でシンガポール料理に舌鼓

解説

高価な本物のプラナカンタイルを惜しみなく使った内装も見事


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テラス席からは真正面にマリーナベイサンズを望む

MRTシティーホール駅にほど近い旧市庁舎と最高裁判所。シンガポール建国の父、リ・クアンユー氏が、首相として初めて演説を行った場所でもある歴史的な建造物として広く親しまれています。その建物が、去年12月に、アートスポット、Singapore National Gallery(シンガポール・ナショナル・ギャラリー)として生まれ変わりました。元市庁舎のシティーホールウィングと、元最高裁判所のシュープリームコートウィングの二つに分けられていますが、シティーホールウィングは、Padang(パダン)という独立記念日のイベントや集会などが行われる広場に面した特等席。ここにオープンしたのが、シンガポールの食を一堂に集めた、「National Kitchen(ナショナル・キッチン)」。かつてリー・クアンユー氏が市民に対してここでスピーチをしたのかもしれない、などと想像しながら、シンガポール料理に舌鼓を打てる、素敵な場所です。

提供される料理は、シンガポールの料理研究家の先駆け、Violet Oon(ヴァイオレット・オン)さんの手によるもの。窓側の席やテラスからは、マリーナベイサンズを望むこともできる、開放感あふれる作りになっています。

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バーテンダーのVincentさん

高級住宅街、ブキティマに1号店「Violet Oon Singapore(ヴァイオレット・オン・シンガポール)」がありますが、そちらが伝統的なプラナカン料理(中華料理とマレー料理の元祖フュージョン料理)を提供するのに対し、(プラナカンには、インド系やヨーロッパ系などもいますが、お店としては、大多数である中華系のプラナカンを意識しているそう)この2号店は、「ナショナル(国の)」という言葉が冠されている通り、チリクラブやサテ、フィッシュヘッドカレーなど、多民族国家シンガポールらしい、インド系やマレー料理なども提供されているのが特徴です。

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フレッシュなシンガポールスリング。グラスのふちの飾りは、プラナカン伝統のビーズをイメージしたもの

バーカウンターもあり、シンガポールならではのSingapore Sling(シンガポールスリング、20シンガポールドル)を楽しむこともできます。「いつもお店で搾りたてのパイナップルジュースを使っているから、甘すぎずすっきりしたシンガポールスリングに仕上がっていますよ」と、バーテンダーのVincentさん。



多様なプラナカン文化を感じる料理の数々

解説

客家系の伝統料理


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「インテリアからもシンガポールを感じられるお店を目指している」と語るイミン氏

Violetさんの息子であるYiming(イミン)さんいわく、「僕たちは福建省からやってきた、福建系のプラナカン。リー・クアンユー氏は客家系のプラナカン。こんな風に、中華系のプラナカンでも、色々なプラナカンがいる。それぞれに家庭の味があり、本当に多様な食文化を構成しているのが、プラナカン料理の面白いところでもあるんですよ」と話します。


そんな客家系の料理、Hakka Abacus Beads(16シンガポールドル)は、タロイモで作った団子に干した甲イカ、干しエビ、シイタケや湯葉などを混ぜたもの。甲イカのカリカリ感と、タロイモのもっちりとした食感の対比が楽しいです。凝縮した海の香りが豊かな一皿でした。

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別名「プラナカンのソーセージ」と呼んでいるとか

このほか、前菜としては福建系プラナカン料理のNgoh Hiang(15シンガポールドル)がおすすめ。エビやカニ、鶏肉にクワイをまぜたものを、湯葉で巻いて揚げています。甘い香りの中国のスパイス、五香粉と、エビやカニの甘さの相性も良かったです。
通常はエビだけで作る料理だそうですが、カニを入れることで甘さが引き立つのだとか。表面の湯葉の薄くパリパリの部分や、クワイのしゃくしゃくとした食感も楽しい一皿でした。

National Kitchenならではのシンガポール料理

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添えられたライスケーキも自家製


プラナカン料理ではなく、シンガポール料理としては、マレー料理のSatay(サテ、12シンガポールドル)。
ターメリックなど独自のスパイスに付け込んだ鶏肉をグリルして、スパイスの効いたピーナッツソース、パイナップルピュレと共にいただきます。
伝統的な手法通り、炭火で焼き上げた香ばしい鶏肉は、濃厚でフルーティーな甘辛いソースとよく合い、おつまみとしてもぴったりです。

シンガポール料理の一つ、Fish Head Curry(フィッシュヘッドカレー、42シンガポールドル)は、鯛の頭を丸ごと使った豪快な料理。ピリッと辛く、クミンやフェンネル、ターメリックなどのスパイスが香ります。トマトやナス、オクラなど、南国らしい野菜と一緒に煮込んだ味は、見た目に反してとても食べやすいです。


絶対に外せない! シンガポールならではのおすすめ料理の数々

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独自のスパイスミックス「ルンパ」が決め手のドライラクサ

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中央の黒い実がブアクルア

1号店のViolet Oon Singeporeでも定番の人気を誇る、シグネチャー料理のDry Laksa(ドライラクサ、22シンガポールドル)は、屋台料理のラクサをパスタにアレンジ、洗練された料理に仕上げました。エビの香りたっぷりの濃厚でスパイシーなココナッツベースのソースに、大きなエビがたっぷり。繊細に細かく刻まれたラクサリーフの香りも豊かです。

 

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豊かなバターの香り、辛くないのでお子様にもおすすめ

プラナカン料理の代表格、Buah Keluak Ayam(ブアクルア・アヤム、23シンガポールドル)は、ブアクルアと呼ばれるブラックナッツの黒いソースではなく、アッサム(タマリンド)、唐辛子、シャロットなどで作った赤いソースで、鶏肉を煮込み、ブラックナッツと共に食べるスタイル。

 

そして、個人的なおすすめはButter Prawn(バタープラウン、32シンガポールドル)バターで揚げた卵でできたふわふわしたフロスに包まれた大きなエビは、皮はカリッと、そして噛むとジューシーさが口の中に広がります。添えられたカレーリーフがシンガポールらしいアクセントになっていて、手が止まらないおいしさです。

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もっちりとした食感がたまらない

デザートは、温かいタピオカのケーキ、Kueh Beng Kah(9シンガポールドル)。もっちりとした食感のケーキには、グラ・メラカと呼ばれる特産のパームシュガーでできたシロップがかけられ、フレッシュな酸味のあるココナッツミルクと合わせていただきます。パームシュガーの香りにどこかほっとさせられる、優しい味わいのケーキです。


元音楽評論家ならではの、最高の音楽とのコラボレーションイベント

解説

Violetさん(左)とLynetteさん


料理研究家になる前は、歌手として舞台に立ち、その後は音楽評論家としても活躍したVioletさん。シンガポールで行われている美食の祭典、World Gourmet Summitの一環として、4月2日には、シンガポールが誇るヴァイオリニストで、日本の天皇皇后両陛下の前でも演奏をしたことがあるというLynette Seahさんとのコラボレーションディナーも行われます。詳しくはお店までお問い合わせください。

<DATA>
National Kitchen (ナショナルキッチン)
営業時間:ランチ 12:00~15:00、ディナー 18:00~23:00、無休
住所:1 St. Andrew’s Road, #02–01, National Gallery Singapore (City Hall Wing) Singapore 178957
電話:+65 9834 9935
アクセス:MRTシティーホール駅徒歩6分

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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