「民泊サービス」が動き始めた
外国人観光客が増えて民泊サービスも一気に拡大
世界各国で空き家を短期で貸したい人と、旅行者および観光客をインターネットで仲介しているAirbnb(エアービーアンドビー)社が行っているのはまさに民泊ビジネスですが、日本の民泊物件として、同社にはすでに2万1千件の登録があるそう(2016年1月時点)。Airbnbに続き、民泊ビジネスを手掛ける会社も出てきています。
民泊サービスが活性化すれば、その経済効果はもちろん、空き家問題や地方創生、観光立国など、日本が直面する課題の解消にもつながるとして、大きな期待が寄せられています。確かに、空いているものや余っているものを活用し、それが新たな価値を生み出せば、私たちの暮らしにも豊かさや発展がもたらされるでしょう。
ただ、民泊サービスに関する法整備はこれからであり、課題も山積しています。国は2015年11月に検討会を設け(観光庁「『民泊サービス』の在り方に関する検討会」)、今まさに望まれる民泊サービスの制度づくりについての議論が始まったところです。
民泊の火災保険、住宅用は「NG」
自宅の一部を民泊に利用する
そもそも民泊と一口に言っても、いろいろな形態があります。
例えば、ホームステイのように家主が住んでいる住宅への宿泊、あるいは家主が住んでいない所有物件への宿泊や、貸別荘のようなものなどもあります。現在のところ、火災保険で民泊物件(一般物件)になるのは、有償・無償を問わず、年に1回だけなどではなく継続的に不特定多数の人を宿泊させることを指します。
ですから、どのような形態の民泊サービスであっても、この定義に当てはまるなら火災保険上の「民泊物件」(一般物件)となります。その場合は事業物件用の火災保険の契約が必要で、住まいに掛ける住宅物件用の火災保険の契約をするのはNGとなります。
火災保険はその用途によりいくつかの種類に分けられます。そのなかでも個人が関わる用途で見た時の火災保険にはおもに、居住用の「住宅物件」、事業用の「一般物件」、さらに一般物件の中には住宅と事業の両方の用途を兼ね備えた「併用住宅物件」などがあり、用いられる保険料率も異なります。そしてこれら火災保険は、それぞれの物件の用途に合わせて適切に契約をしなくてはなりません。
たとえば、ホームステイ型の民泊サービスなら、用途を併用住宅とする火災保険契約が必要です。一方、家主は住まないが所有するマンションの専有部分で民泊サービスを行うなら、一般物件での契約になります。なお、一般物件の火災保険料は、住宅物件よりもやや高めとなるのが一般的です。
■民泊の火災保険 用途の例
- ホームステイ型のサービス…住宅と事業の両方の用途「併用住宅」に該当
- 家主は住まないが所有するマンションの専用部分でサービス…事業用「一般物件」に該当
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