住まいは工業製品ではない!
近年の住まいはサイディングを貼り、色を上部と下部で分け、なんとなく似たようなデザインの家が立ち並んでいると思いませんか?少しオーバーな言い方かも知れませんが工業製品のような感じも受けます。きっと熟練した職人による手仕事を減らし、組み立て作業を多くしてクレームをなるべく減らして工期を短縮するためでしょう。そうすることでコストや職人の人件費を抑えることもできます。
しかし、そうしてできた家は新築時が一番美しく、あとは劣化していくだけです。本来、住まいはできてからがスタートで、そこから時間をかけて住まいの雰囲気や味を出していくものなのです。経年美という視点を忘れてないで下さい。
ローコスト住宅という言葉につい!
ローコスト住宅に明確な定義はありません。一般には坪単価を安くして建てられることでしょうか。しかしローコストの家は間取りが単純で手間をかけないでつくれるような家です。しかもキッチンや洗面化粧台,トイレ,ドア,サッシなどの設備機器や建具は中級品以下のものがほとんどで、年間単位で製造元から大量に購入してコストダウンをしているものです。仮に標準仕様以外の物を選ぼうとすると、価格は一気に高くなります。ローコスト住宅というフレーズに騙されてはいけません。内容をしっかりと確認することです。
ニセモノが多い建材!
現代の住まいは50年くらいもつでしょう。しかし日本の住宅の平均寿命は約26年です。アメリカは約44年でイギリスは約75年ですから、日本はアメリカの約2分の1、イギリスの約3分の1しかもたないのです。その理由は、内装材にビニールクロスや床材に合板などニセモノの建材を使っているからです。ビニールクロスは約10年を目安に貼り替えが必要です。床材は表面に0.2~0.3mmの薄い無垢材のシートを貼っています。これに傷がつくとすぐに下の合板が見えてしまいます。これらの張り替えにお金がかかります。つまりイニシャルコストとランニングコストをどう考えるか、家づくりの始めは当然本物の材料を使ったほうが高いですが、ランニングコストはとても安くなります。
自由設計・注文住宅の本当の意味を確認してみる!
新聞などの折り込みに入ってくるチラシをみると、「自由設計・注文住宅ができます」と書かれています。しかしその内容をしっかりみると、細かい仕組みが公表されていないハウスメーカー独特の工法(クローズト工法といいます)となっています。部屋のサイズや壁を入れる位置、天井高さなどある一定の設計やルールが決まっていて、その中での自由設計・注文住宅ということで、本来の注文住宅とは意味合いが全く違うのです。〈住宅工法〉
・クローズト工法…細かい仕組みが公開されていないハウスメーカー独特の工法で、他の会社は扱うことができない
・オープン工法…誰でも扱えるよう細かい仕組みが一般に公開されている工法
プレファブ工法、2×4工法、木軸在来工法などよく目にする工法ですが、ハウスメーカーは独自に工法をもっています。それをクローズト工法と呼んでいるのです。
施工管理者の力量を推し量る!
多くのハウスメーカー、または工務店もそうですが、工事を発注する際、協力業者にお願いします。基礎屋さん、大工さん、左官屋さん、塗装屋さん、内装屋さんなどなど……約20業者近くになるでしょう。それぞれの協力業者が工程の流れに沿って工事現場に入ります。その流れをつくるのが現場監督、つまり施工の管理者です。会社案内のパンフレットにいくら立派なことが書かれていても、すべては現場監督の力量によって仕上がり方は違ってきます。
また現場監督はひと現場にずっと居るわけではなく1人で15~20戸の現場を持たせている会社もあります。これではなかなか細かい所や手間のかかる難しい所には目が届きにくくなり大変です。だからシステム化する、仕上げやユニットを使いたがるのです。
それでも建物は、人の手を借りて一品生産をするわけですから、現場監督の力量はとても重要なのです。施主にとってこのあたりの見極めも大切です。
ガイド佐川 旭からのアドバイス
住まいは竣工後からの住み心地やメンテナンスに対する考え方も大切です。新築時は当然、ギリギリのコストで作る人もいます。良いものは解っていてもそんなにコストがかけられないこともあるでしょう。ただこれからは、短命に終わる家づくりではなく、少なくとも2世代は住み続けられる家づくりを心がけてほしいと考えます。それにはどういう工法でどんな材料で空間づくりをすればよいのか、家づくりの現状を読み解くことで施工する会社に対していくつかの質問事項やヒントが見つかるはずです。