芸能人は薬物に手を出しやすいのか?
過去に警察関係者が「芸能人の薬物依存は一般市民への悪影響が大きい」と語ったことがあるように、シビアな問題なのは事実だとして、果たして芸能人が他の職業と比べて薬物汚染の比率は高いのだろうか。
警察庁の犯罪統計では
まず、警察庁がまとめた犯罪統計から。「平成26年の薬物・銃器情勢」によれば、2014年の覚醒剤事犯の検挙人員は10,958人。この内訳が職業別に分類されていれば比較が可能となるが、実はそれが難しい。
警察庁の統計は殺人や強盗などに代表される「刑法犯」とそれ以外の「特別法犯」に大別され、「覚醒剤取締法」や「大麻取締法」などは後者の特別法犯に分類されるのだが、警察庁に取材したところ「刑法犯」については職業別の分類が行われているものの「特別法犯」については行われていないとのこと。
つまり職業別の検挙人員を知ることは我々には難しいというわけだ。
民間ベースの調査では
では民間の調査ではどうか。国立精神・神経医療研究センタ-精神保健研究所薬物依存研究部の和田清部長らが2013年に行った「薬物使用に関する全国住民調査」がある。
これは全国の15歳以上64歳以下の5000人に対して、戸別訪問留置法による自記式調査で、隔年で行われているものだ。
これによれば「覚醒剤使用のこれまでの経験(覚醒剤生涯使用経験)」について回答した2901人中、約0.5%にあたる14人が「ある」と答えた。
これらはあくまで本人の自由意思による回答であるため、「『正直に答えたくない』という心理的バイアス」(報告書より)のため実態より低くなる傾向があるとされるが、回答者全体の約0.5%は200人あたり1人の計算となり、肌感覚としては高い。
だが、この調査でも職業区分は行われておらず、客観的な数値で芸能人とそれ以外を比較するのは難しいのが実情だ。