「1強時代」にファンが果たすべき役割とは
この大会には、各国所属選手の今シーズンの成績にしたがって5ヵ国が選出され、開催国の日本を含む6ヵ国が出場する。
男女シングルは2名ずつ、ペア、アイスダンスは1組ずつが出場し、4種目の合計ポイントで順位が決まる大会だ。
そんな国別対抗戦だが、今回、羽生結弦選手の出場を巡ってチケットをとりまく状況が急変した。
国別対抗戦とは
まずは、どんな大会か簡単に説明しよう。フィギュアスケートは、通常は同一種目で競われるが、当大会は異なる4種目(男女シングル、ペア、アイスダンス)による合計ポイントでチームとしての順位が決まる方式だ。日本のように男女シングルが主体の国もあれば、ロシアのように各種目がどれも上位の国もあるなど、各国におけるフィギュアのあり方を垣間見られる点も当大会の特徴といえる。
2014年のソチ五輪では初めて団体戦が採用されたが、それも2009年に始まった当大会がきっかけとなっている。
国別対抗戦のもう一つの意味合いは、大会の形をしたエキシビションという点だ。
フィギュアにおいては世界選手権がそのシーズンの最大目標であるため、その後に行われる国別対抗戦は「後夜祭的」であり、順位づけのあるエキシビション、いわば「花相撲」的な役割となっている。
チケット事情の急変
そんな国別対抗戦だが、3月31日を境に、チケットを求めるファンが急増した。理由は、欠場すると見られていた2015年世界選手権銀メダルの羽生結弦選手が、大方の予想に反して出場することが発表されことにある。彼の出場が発表された直後から、当大会のチケットを巡る需要と供給の関係が逆転した。
国内最大級のファン交流サイト「フィギュアスケートチケット交換の部屋」に、その影響はハッキリ現れていた。
このサイトは、転売目的の悪質業者やオークションとは全く異なり、フィギュアスケートのファン同士が”定価以下”でチケットを融通しあう良質な助け合いフォーラムだ。
その掲示板での「チケット譲る」「チケット求む」の推移を調べたところ、羽生選手の出場が発表された「3月31日」を境に、投稿の中身が急変した。
羽生選手目当てが殺到
まず羽生選手の出場が発表される前日までの8日間を見てみよう。「チケット求む」の希望者は【5名】(20%)
「チケット譲る」の希望者は【20名】(80%)
で、「譲る」のほうが多い。(グラフ1)
(グラフ2)
「チケット求む」の希望者は【235名】(91%)に急増した一方、「チケット譲る」の希望者は【24名】(9%)と、構成比が大きく逆転した。
とくに「チケット求む」は一日平均0.6人から29.4人へとに急増したが、これらは羽生選手見たさの人だと考えてよいだろう。
これに対し、「チケット譲る」は、構成比は急減したが、実数は20名→24名とほぼ横ばいであることから、出場選手に関係なく、余ったチケットを譲る目的であると推察される。
3月31日の前後8日間の取引希望者数の推移をまとめたのがグラフ3。
この日を境に状況が激変したことがわかる。