3/3 最高傑作の呼び名高いドゥカティムルティストラーダ [バイク] All About

試乗すればその魅力の虜になること間違いなし

車体が7度以上傾くと、曲がる方向の視認性をアップさせるコーナリングライトが点灯し、見通しを良くしてくれる

ライダーの安全性を考慮した新システム、それがドゥカティ・コーナリング・ライトです。これはヘッドライト内に仕込まれているコーナリング専用のライトで、通常は点灯していません。が、コーナリングに差し掛かり、車体が7度以上傾くと、その先の視認性を良くするために自動的に点灯するのです。

最近の自動車でもトンネルに入った瞬間、ヘッドライトが点灯しますが、理屈はそれと同じでオートバイが傾いた際に作用するもの。夜道や急なトンネルで曲がっていく際、進行方向が明るくなって見通しが良くなれば、安心してクルージングすることができます。安全な旅を楽しむために考えられた新システムというわけです。現在日本仕様への導入は未定とのことですが、大いに期待したいところですね。

ムルティストラーダの楽しさのひとつが、オーソドックスなロードスポーツモデルという側面を持ち合わせているところ

デュアルパーパスという名称と大柄な印象から、あたかも上級者モデルのように見られがちなムルティストラーダ。しかし、実際に乗ってみるとポジションはニュートラルで足着きも良く、前後17インチという足まわりがロードスポーツモデルとしての楽しさを存分に発揮してくれます。これ一台あれば、どんな遊び方をしてもアベレージ以上の楽しさを味わわせてくれること間違いなし。人生で一度はこのバイクのオーナーになりたい、本気でそう思わされるほどの魅力を抱かせてくれました。

論より証拠、試乗の機会がある方はぜひ乗ってみてください。必ずやムルティストラーダの魅力の虜となることでしょう。

デザインからプロモーションまで“美しさ”にこだわるドゥカティ

最初に決まったデザインスケッチを崩すことなくプロダクトが進められるドゥカティというメーカーのセンス

「決定したデザインスケッチに合わせて作られていく」、それがドゥカティのモーターサイクルプロダクトの指針だと聞きます。とある工業製品を手がける際、製作途中で差異が生じ、完成品とスケッチに小さくないギャップが生まれることは珍しくありません。しかしドゥカティの場合は、全員がイメージを共有した初期スケッチを変えることなく、あらゆる方法を考えてスケッチどおりに収めていくのだそう。

このスケッチと完成形を見比べれば、その言葉に偽りがないことは明白。フェラーリやアルファロメオなどのモーターメーカー製品と同様、美しさにこだわるイタリア人のアイデンティティを感じる部分です。

ドゥカティオーナーに対してはもちろん、販売店やメディアにも自社製品の素晴らしさを説くための演出にはこだわるドゥカティ。ここに、ドゥカティに関わる人たちの“ドゥカティ愛”を深く感じた

美しさと言えば、モーターサイクルはもちろん、プロモーションにかける意気込みは他メーカーを圧倒するほど。その演出のひとつひとつが、派手すぎず、それでいてため息をつかせるものばかり。大型バイクは趣味の世界のもので、だからこそ実用性やビジュアルの双方に対して徹底的にこだわりたい。日本での認知度は決して高くないドゥカティですが、ボローニャの方々のドゥカティに対する愛情と誇りは、ちょっと私たちの感性では推し量れないレベルなのかも、と感じ入りました。

そんな彼らの手から生み出されたムルティストラーダには、そのドゥカティ愛が惜しみなく注ぎ込まれています。日本導入は2015年夏を予定しているそうです。今から日本上陸が待ち遠しいですね！

Multistrada 1200