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「Ninja H2」最強のバイク!都内通勤試乗インプレッション

スーパーチャージャーを搭載するカワサキ渾身のフラッグシップバイク「Ninja(ニンジャ) H2」を都内の通勤で試乗してみました。モンスターマシンの街中での乗り心地はどんなものか? 一週間きっちり試乗したインプレッションをお届けします。

相京 雅行

執筆者:相京 雅行

バイクガイド

 

カワサキのモンスターマシン、Ninjya H2が降臨!

Ninja H2フロントビュー

Ninja H2フロントビュー

いきなりですが、まさかの展開に少々戸惑っています。いつも皆さんに読んでいただいているコンテンツは「通勤試乗インプレッション」です。珠玉のスポーツモデルですら普通に通勤に使ってインプレッションしてきました。

あくまで「公道を制限速度内で走る」インプレッション。最近のバイクはバランスが優れており、サーキットなどを走る前提で作られているスーパースポーツバイクでも、街中で走行しても扱いやすかったりします。

しかし、まさか通勤試乗インプレッションでこの車両に乗ることになるとは!今回、カワサキが試乗インプレッションのために用意してくれた車両はNinja H2です。この車両、何がやばいってスーパーチャージャーが付いているんです。


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排気量以上の出力をひねり出す、スーパーチャージャー!

エンジン上にマウントされたスーパーチャージャー

エンジン上にマウントされたスーパーチャージャー


スーパーチャージャーとは、空気を圧縮して排気量以上の出力をひねり出す装置のこと。ターボといわれるものとは仕組みは違うのですが大きく分ければ用途は一緒です。

最近のターボは燃費を向上するために使われていて、排気量を小さくしてターボを搭載する「ダウンサイジングターボ」などが代表例です。ただ私の年代はターボといえば「モアパワー・モアトルク」の象徴ともいえる装備でした。

自動車に搭載されるのが一般的ですが、過去にはバイクに搭載されたこともあったようです。しかし私がバイクに興味を持つようになってからはターボ付バイクが発売されたことはありません。

Ninja H2はエンジンにスーパーチャージャーを搭載した文字通り「モンスターマシン」。どう考えても都内の街中を走る通勤試乗インプレッションには不似合いのバイクです。しかし、私もバイクガイドを勤めるようになってもう3年……。

同じくモンスターマシンといわれるスズキの隼やヤマハのVMAXなども通勤で試乗してきました。おそらく“試乗”最強となるであろうバイクに正直、若干ビビッてはいますが、いつも通り通勤試乗インプレッションをお届けしたいと思います。
 

まずはNinja H2の装備をチェック!

Ninja H2 正面からのビジュアルも雄々しい

Ninja H2 正面からのビジュアルも雄々しい


カワサキからNinja H2が配送されてきました。まず目に付いたのは鏡面塗装が施されたボディ。傷がつきやすく、イベントなどでNinja H2が展示されることがあっても触ることは禁止されていました。非常に美しい塗装が施されており、光沢感はクロームメッキに近い印象です。

配送業者によると、Ninja H2は新車時は全ての面がパネルで覆われた「箱車」以外での配送が禁止されていて、軽トラックなどで配送してはいけないそうです。さらに車体を固定するロープで縛るところも限定されています。モンスターなのに意外と繊細な一面を持ち合わせています。
 
Ninja H2の灯火類はLED

Ninja H2の灯火類はLED


次に目に付いたのは、やはりエンジンの上にマウントされたスーパーチャージャー。カワサキのバイクは基本的にはカワサキモータースジャパンが独自の技術でバイクの生産を行っていますが、Ninja H2に関してはカワサキ重工グループが総力を結集して生産しています。

航空機産業なども行っている川崎重工グループはターボやスーパーチャージャー技術を持ち合わせています。空気の薄い高度で安定してエンジンに空気を送り込む技術はバイク業界よりも航空産業の方が一歩も二歩も進んでおり、その技術のフィードバックがあるのは大きいでしょう。
 
Ninja H2のリアサスペンションはフルアジャスタブル

Ninja H2のリアサスペンションはフルアジャスタブル


前後のサスペンションはフルアジャスタブルタイプを採用。好みに合わせてセッティングが変更できるようになっています。その他、クイックシフターやオーリンズ製のステアリングダンパー、全ての灯火類はLED、ABS、トラクションコントロールなど装備は盛りだくさんです。
 

Ninja H2のお値段は??

2018年私たちが購入できるNinja H2は、公道走行ができないサーキット走行専用モデルのNinja H2R。逆輸入車として株式会社ブライトが販売しているNinja H2。そしてNinja H2の外装一部をカーボンに変更したNinja H2 Carbonというモデルの3種類です。

Ninja H2Rはサーキット仕様なのでフルパワー化されており、走行風を利用して加圧した空気を取り込むラムエア加圧時は326PS/14000rpmと驚異的な出力となっています。ただお値段も594万円(税込み)とある意味規格外の価格となっています。

それに対してNinja H2は302万4000円(税込み)。Ninja H2 Carbonは334万8000円に設定されており、エンジンの出力も205PS/11000rpmとなっています。Ninja H2Rと比べると若干控えめのお値段と出力となっていますが、実際に走行フィールはどのようなものか?通勤で試乗してインプレッションします。

 

「Ninja H2」珠玉のバイクも通勤で使えば苦行に……?

Ninja H2のクラッチはとても硬い

Ninja H2のクラッチはとても硬い


私の愛車はハーレーのスポーツスターというバイクです。国産車と比べるとクラッチが重いといわれるハーレーですが、Ninja H2はさらにクラッチが重く、1時間も街中を走っていれば左腕の握力がなくなります。一週間試乗したことで明らかに左腕の筋力は増しました。

クラッチが辛い要因の一つがニュートラルギアへの入りにくさ。信号待ちで左腕を休ませようにもニュートラルギアになかなか入らないのです。週の後半には慣れてきたものの、当初はかなり苦戦しました。
 
Ninja H2のアクセルレスポンスはとにかくシャープ!

Ninja H2のアクセルレスポンスはとにかくシャープ!


Ninja H2のアクセルレスポンスはとにかくシャープ。特に3000rpmを境にモンスターが牙をむきます。私の体感ですが3000rpmぐらいからスーパーチャージャーが効いている感触があります。走り出したら速めに4速ぐらいまで入れないと簡単にフロントが浮いてしまいそうです。

アクセルを開けるとスーパーチャージャーの過給音が「キューーン」と鳴り始め、アクセルを戻すとターボ車のブローオフバルブ音のような「パシュ」という音が聞こえます。スポーツカー好き、バイク好きならこの音だけでも三杯はご飯が食べられそうです。
 
オーリンズのステアリングダンパーundefinedこれがないとハンドルが暴れそう

オーリンズのステアリングダンパー これがないとハンドルが暴れそう


さすがにスーパーチャージドエンジンならではの加速感は圧倒的で、今まで試乗したバイクの中でも1、2を争う加速力でした。オーリンズのステアリングダンパーが効いていてハンドルをとられることはありませんが、ダンパーがなければかなり怖そうです。また、ハンドルのキレ角も小さく、小さく曲がろうとすると簡単にフルロックしてしまうのでUターンする時などは注意が必要です。

足回りはノーマルの状態だとリアサスペンションはかなり柔らかめ、フロントは固めの印象です。街乗り程度でのコーナーだとブレーキングではフロントがあまり沈まないのでハンドルはしっかり切れていきますが、荷重をしっかりと内側に持っていかないとバンクしていかない印象も受けました。
 

まるでワープしているような異次元の加速感!

Ninja H2サイドビュー

Ninja H2サイドビュー


Ninja H2の加速感はまさに異次元。今まで試乗したスズキ GSX-R1000やホンダ CBR1000RRなど1000ccクラスのスーパースポーツバイクの加速感も半端じゃないですし、もちろん公道ではパワーを使い切ることはありませんが、低速からトルクがガツンと効いて加速していく感触はスーパーチャージャー搭載車両のNinja H2ならでは。

高回転型の4気筒エンジンはどうしても低速トルクが不足しがちになりますが、そこをスーパーチャージャーでカバーしているため、どこからでもドッカンと加速していきます。たとえるなら、「線」というよりも「点から点」という加速で、まるでワープしていくような感覚です。
 
Ninja H2 リアビュー

Ninja H2 リアビュー


この感覚は1680ccのV型4気筒エンジンを搭載したヤマハのモンスターバイクVMAXに試乗した際にもありました。あまりの加速感に三半規管がおかしくなりそうになるのです。

怖いと感じるかもしれませんが、バイク好きなら「すごいものに乗ってしまった」と感じるはずですし、楽しいかもしれません。しかし、このバイクは街中を走っても窮屈なだけです。
 

「Ninja H2は意外と優しい」という評価はサーキットを走行しているから

Ninja H2をおすすめしたいユーザーは極めて限られます。サーキットなどで思う存分楽しみたいという方か、川崎重工業の技術の粋を集めたスーパーマシンを持つことによる所有欲を満たしたいという方ぐらいでしょう。

「モンスターは意外と優しい」という試乗インプレも目にしましたが、それはサーキットや車通りの少ない道での走行だからだと思います。

下道を走行すれば「こんな道を走るために生まれたんじゃない!」とモンスターに一喝されてしまいそう。当たり前ですが、ガンガン足に使うバイクではありませんし、似合うのはサーキットやスポーツライディングなどのシーンとなるでしょう。

例外的な使い方で言えば、圧倒的なパワーを支えるフレームや足回りを備えているために直進安定性は驚異的。そのためストップ&ゴーの少ない長距離ツーリングなどで使うの悪くないかもしれません。

ただし、Ninja H2の純正指定タイヤはブリジストンのハイグリップタイヤ「BATTLAX RACING STREET RS10」が採用されているので寿命は短め。そしてお値段はリアタイヤだけで相場3万円前後と高めなので維持費は高くつきそうです。

とはいえ、とにかくNinja H2はとてつもないバイクでした。カワサキは今後もターボ搭載モデルをリリースすることを発表しています。ダウンサイジングターボの考え方ではなく、モアパワー・モアトルクを実現する新しいバイク用ターボエンジン搭載車両の発表が楽しみです。
 

現行のNinja H2は若干ライダーにも優しい装備が搭載


通勤では苦行と感じたクラッチの重たさも2017年モデルのニンジャH2にはアシスト&スリッパークラッチが装備されている為に緩和されています。

更にオーリンズ製のフルアジャスタブルリアサスペンションが装備されたことでライダーが理想的な乗り心地を実現することが可能になりました。

徐々にリニューアルされる「モンスター」の進化は止まりません。

Ninja H2の排気音やエンジン音はこちら

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