ニューリッチへの道/ニューリッチへの道

金持ちになりたいならTODOリストを捨てる

やるべきこと、やりたいことを書き出して一覧できるTODOリストは、多くの人が使っているツールだと思います。仕事の備忘録にもなりますし、やり終えたときに得られる達成感も大きなメリットです。私もよく使います。しかしTODOリストも万能というわけではなさそうです。

午堂 登紀雄

執筆者:午堂 登紀雄

ニューリッチへの道ガイド

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TODOリストの限界とその克服法

万能ではない

万能ではない

やるべきこと、やりたいことを書き出して一覧できるTODOリストは、多くの人が使っているツールだと思います。仕事の備忘録にもなりますし、やり終えたときに得られる達成感も大きなメリットです。私もよく使います。

しかしTODOリストも万能というわけではなさそうです。

社会心理学者のRoy Baumeister氏とジャーナリストのJohn Tierney氏の共著『Willpower』には、人は一般的に、常時150以上のタスクを抱えており、あまりに多くの目標を抱えていることからくる不安が、身体や精神、そして仕事の生産性に悪影響を与えていると書かれています。「どうでもいいタスクをTODOに入れてしまう」とそうなるようです。

TODOリストにタスクを詰め込み過ぎると、頭の中にはいつも心配事が渦巻くこととなり、あるいは「今日もできなかった」「まだこんなにやることがある……」と、逆にモチベーションの低下を招く可能性があるそうなのです。

また、状況が変わればTODOも変わります。

日々ハプニングや障害も発生するものです。たとえば子どもが通学バスに乗り遅れ、学校まで送ることになったため、午前中の予定が狂った。職場の先輩に長時間話しかけられて、時間が押してしまった。ネットのニュースサイトにはまってしまった……。

そんな状況の変化にも臨機応変に対応できるよう、TODOの締め切りをガチガチにしすぎないことも必要でしょう。

書けば願いは叶うのか?

また、「紙に書けば願いは叶う」という成功哲学がありますが、ただ書くだけでは叶いません。なぜかというと、掘り下げ方が浅いTODOのまま放置してしまう場合があるからです。

たとえば、「年収1億稼ぐ」とか「将来は起業する」と書いても、それで行動できる人とできない人がいます。

行動できない人は、タスクが大き過ぎるのです。「願いを書いたのに実現しない」という人は、もっと小さな行動目標にブレークダウンする必要があります。
たとえば先ほどの「起業する」なら、足がかかりとして「セミナーを開催して顧客リストを作っておく」というタスクに落とす。

そしてさらに、「テーマを決める」「日程を決める」「場所を決める」「告知用のウェブページを作る」「招待する人を決める」「招待者にアナウンスする」「終了後の懇親会の場所を決める」「事前資料の準備をする」といった、アクションレベルの細かなTODOに落とし込む。

そうやって初めて、やるべきことが明確になります。

掘り下げ方の一つの指標は、「今日から行動できるかどうか」です。
テーマが大きすぎるタスク、締切時間が長く設定されているタスクは、達成率が下がります。小さく短期的なタスクほどより多く達成される傾向があります。
もしなかなか達成できないTODOがずっと残っている場合は、タスクをもっと細かく掘り下げる必要があります。

コレで世界一の鉄鋼会社になりました

TODO項目が増えすぎるのは、「エアコンのフィルターを掃除する」とか「牛乳を買ってくる」など、明日やってもいいことを今日のTODOにリストアップしてしまうということです。

重要なのはTODOに追われることではなく、目的を達成することですから、優先順位の付け方が重要なポイントになります。

そこで参考になるのが、経営者とコンサルタントの、ある有名な話です。

コンサルタント 「能率を50%以上改善する方法があります」

経営者 「本当ですか? ぜひ教えて下さい」

コンサルタント 「明日しなければならない仕事をここに6つ書いてください。次に、それぞれの仕事の重要度に応じて番号をつけてください」

経営者 「はいわかりました」

コンサルタント 「それを手帳に挟んでおいてください。明日最初に取り組むのは番号1のしごとです。それを終えるまでは他の仕事には手を付けないでください。最後までやり遂げたら番号2、3、4と順に取り組むのです。結果的に1つか2つしかできなくても悔やまないでください。一番大切な仕事を真っ先にやり遂げているわけですから、他のものは遅れてもやむをえません」

経営者 「はい、わかりました。」

コンサルタント 「これを毎日続けてください。その日の仕事を重要度で順番をつけ、そのとおりにやっていくのです。この方法に納得でき、自信が持てたら、社員にもさせてみてください。それでもし成果が出れば、妥当なコンサルティングフィーをお支払いください」

経営者 「わかりました」

数週間後、その経営者は一枚の小切手を添えてコンサルタントに礼状を出しました。それは、フォード車が10台買える金額だったそうです。その後、彼が経営する会社は世界最大の鉄鋼会社となりました。

これは、「アイビー・リーの25000ドルのアイデア」という、優先順位を明確化することの重要性を表わしたエピソードです。

優先順位を決める基準はインパクトの大きさ

問題は「どういう基準で優先順位を決めるか」ですが、私が指針にしているのは「インパクトの大きさ」です。インパクトとは、「儲け」「損失」「褒められる」「怒られる」「困る・困らせる」の度合いの大きさという意味です。

話しやすいからといって取引量の小さい得意先に訪問するより、苦手な人であっても取引量が大きい、あるいは将来より大きな利益につながりそうな得意先に訪問するほうが、優先度は高い、というのはわかりやすいと思います。

また、商品の梱包作業と伝票の整理のどちらを優先させるかで迷ったとき。早くやれば上司から褒められ、ボーナス査定がアップするかもしれない。しかし後回しにすると顧客から怒られるかもしれない。この場合、どちらがインパクトが大きいか、と考えるのです。

もうひとつ、私は「効果の持続性」にも着目しています。それは、やったことの効果を長く得られるものを優先させるというものです。たとえばウェブサイトの改善というテーマでリストアップする場合、新しい機能を追加することよりも、SEO対策を優先することで、持続的な効果が期待できます。

単発的な効果ではなく、刈り取れる期間が長く取れるものを優先するということ。

そのためには、「今日できることは今日やる」という判断よりも、「明日やってもさほど変わらないことは明日に回す」という割り切りも必要はないでしょうか。

参考)
「1つずつ自分を変えていく 捨てるべき40の悪い習慣」(日本実業出版社)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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