個性派揃いの北欧映画
そんな北欧映画がまとめて日本で上映される。北欧映画祭「ノーザンライツフェスティバル2015」だ。それに先立ち、北欧映画ならではの視点が生まれる背景を考えてみたい。
ハリウッドと北欧映画の違い
映画には様々な種類がある。アドベンチャーがあれば犯罪物もあるし、ドキュメンタリーもあればばアニメもある。どんなジャンルであれ、見た人を満足させるには作品自体の質が重要だ。映画のデジタル化に伴い、様々なテクニックが駆使されるが、作品の質を左右するのはやはり展開や脚本といった内容そのものだ。その点で注目したいのが北欧映画だ。
北欧映画の一つに犯罪心理を描いた名作「エレメント・オブ・クライム」がある。脚本もすばらしく、人間心理の盲点を突いた大変衝撃的な作品なのだが、残念ながら日本ではあまり知られていない。似た世界を描いたハリウッド映画「羊たちの沈黙」が有名なのとは対照的だ。
理由の一つが資金力だ。テレビCM等を見てもわかるように、圧倒的資金力を持つハリウッド作品はヒットさせやすい。
興業としての映画と表現としての映画
むろん、アルフレッド・ヒッチコック監督作品を代表としてハリウッドは名作揃いだが、近年は一度消費されたら忘れられてしまいそうな「定期的に出る大作」が増えている。それはハリウッドが、多数を集めて巨額の興業収益を上げる収益構造だからだ。逆に北欧映画には、かつてのヒッチコックを彷彿させるような思慮深い作品が多い。1作品で多額の収益を目指さず、多様な価値観を偏見なく表現することが優先されているからだ。
その特徴は3つに大別できる。