国産ジェット旅客機MRJは日本の誇りを取り戻すための挑戦
その機体が愛知県の工場で公開され、来年には試験飛行が予定されるなど期待が集まっている。
MRJは日本の航空技術の復活であるとともに、日本の誇りを取り戻すための挑戦でもある。
MRJとはどんな飛行機か
MRJは「リージョナルジェット」という名の通り、近距離航行を目的としたジェット旅客機だ。航続距離(一回の給油で飛行が可能な距離)は最大3400キロメートルとされ、国際線で使用されている旅客機の約4分の1だ。
しかし旅客機は遠くに飛ぶばかりが能ではない。MRJのスペックは、国土の狭い日本はもとより、新興国で需要が高まりつつある近距離での運行に最適と言えるのだ。
省エネボディがもたらすメリット
MRJの最大の長所は、炭素繊維素材を用いることで大幅な軽量化を実現し、同じカテゴリーの旅客機に比べ、燃費を20%もアップさせていることだ。これは、高騰を続ける航空燃料への対策としても有効であるし、格安航空会社(LCC)の台頭などで厳しいコスト削減が求められている航空会社にとって大変な魅力となるものだ。
でもなぜ、参入までなぜ半世紀を要したのか。
その背景は敗戦に遡る。
連合国による日本の飛行機製造禁止措置
かつて日本には中島飛行機、三菱重工業、愛知航空機の3つの飛行機メーカーがあった。今でもファンの多い「ゼロ戦」を代表として、日本が製造した戦闘機は大変優秀だった。しかしその優秀さが災いし、再び戦争に利用されることを恐れた連合国側により、敗戦と同時に飛行機の製造が禁止された。
こうして日本から航空機メーカーがなくなった。