介護レクリエーションは単なるヒマ潰しではない
介護レクリエーションは、QOL向上に繋がる重要なものです
介護レクリエーションの種類は多種多様ですが、代表的なものとしては下記のようなものが挙げられます。
- 体操や風船バレーなどの運動系
- 曲を聴いたり歌ったり、楽器を演奏したりする音楽系
- 絵を描いたり、塗り絵をしたり、書道を行ったりするクリエイティブ系
- 計算、クイズ、なぞなぞといった脳トレ系
- ビデオなどを見る観賞系
- クリスマス会や誕生会などのイベント系
- 遠足、外食、散歩といった外出系
こうした介護レクリエーションのことを、要介護者が退屈しないようにするためのヒマ潰しだと考える人も少なくないのですが、それはとんでもない思い違いです。
楽しく充実した時間を過ごすことは、要介護者に喜びを与え、QOL(Quality of Life=生活の質)を向上させることに繋がるもの。そして、こうした介護レクリエーションは、介護スタッフやボランティアたちの創意工夫や努力によって支えられているのが現状です。
「レクリエーション介護士」の認定を行う
一般社団法人日本アクティブコミュニティ協会
一般社団法人日本アクティブコミュニティ協会は、介護レクリエーションに特化した活動を行っている団体です
同協会の事務局は、介護レクリエーションに関する素材提供を行い、6万人を超える会員をもつ人気サイト「介護レク広場」を運営するスマイル・プラス株式会社が、同協会の事務局を務めています。
「介護レク広場」会員へのアンケートや、200件の介護施設への訪問調査を通して、介護レクリエーションの知識習得へのニーズの高さと、体系的に介護レクリエーションを学ぶ環境が整っていない現状が明らかになったことから、「レクリエーション介護士」の認定制度を発足することになりました。介護レクリエーションに携わるベテラン講師のノウハウを集約し、医師・理学療法士・弁護士などの専門家のアドバイスを受けて公式テキストを含む教育カリキュラムを完成。2014年9月から正式に募集を開始しました。
レクリエーション介護士の資格認定においては、介護レクリエーションを下記の3つに分けたうえで体系的に学び、試験に合格すれば取得できるようになっています。
1.集団レクリエーション
- 介護事業所で行われる体操
- 毎月の誕生会や季節ごとのイベント
- 園芸、歌、楽器の演奏 など
2.個別レクリエーション
- 絵画、囲碁、クラフトなど、自由な時間に行う趣味活動
- 脳トレーニングのゲーム、写経、計算問題など、高齢者の身体の状況に合わせた介護予防のためのプログラム など
3.基礎生活レクリエーション
- 食事の時間に昔懐かしの映像を見る
- 入浴の時間に音楽を流す
- 共有部分に絵を飾ったり、花を置いたりする など
【インタビュー】日本アクティブコミュニティ協会がめざすもの
「レクリエーション介護士の需要は想像以上だった」と語る荒川理事長
横井「レクリエーション介護士の認定制度スタート後の反響は?」
荒川理事長(以下、荒川)「まだスタートしたばかりですが、当初の予定を大きく上回る勢いで資料請求・申込につながっているようです」
横井「介護についてはさまざまな資格がありますが、そのなかでレクリエーション介護士の特長はどのようなものでしょうか?」
荒川「この資格は『高齢者に生きる喜び、楽しさをもたらす』のが目的です。そのためには、まずレクリエーションを提供する側が笑顔で接することが必要です。自分も相手も笑顔になるというところが、この資格の大きな特長です」
横井「どんな人にレクリエーション介護士を取得してほしいとお考えですか?」
荒川「介護のお仕事をされている方はもちろん、ボランティア活動に関心のある方、介護系の仕事に就職・転職を考えている方、また家族介護にも役立ちますので、幅広い方に取得して頂きたいと思います」
横井「レクリエーション介護士をめざす人にメッセージをお願いします」
荒川「近年では、このレクリエーションの重要性に注目している施設が増えています。レクリエーション介護士は、高齢者の『生きる喜び』や『楽しみ』を一緒に作り出す支援をし、介護現場に笑顔をもたらすことができる資格です。ぜひこの『技術』を修得し、高齢者が心豊かに生活できる社会の実現につなげていきましょう」
重要性の割には、これまで注目されることが少なかった介護レクリエーションに、資格という大きな価値を与える同協会の意義は、とても大きなものだと思います。
資格の取得方法は、大きく分けて3種類
レクリエーション介護士の認定制度は、まず基礎編ともいうべきレクリエーション介護士2級講座からスタート。2015年には、より専門性の高い1級講座の開講が予定されています。資格の取得方法は大きく3種類に分かれており、ライフスタイルなどによって好きなものを選ぶことが可能です。
- 通信教育……テキスト、DVDを使って在宅で学びます。添削課題をクリアし、検定試験(在宅)を合格すれば、資格を取得できます
- 通学講座……認定講座を提供している専門学校などに通学して学びます。2日間の講習を受講後に検定試験に合格すれば、資格を取得できます
- 施設向け集団研修……協会指定の認定講師が介護施設などに訪問して研修を行います。受講後に検定試験に合格すれば、資格を取得できます
介護の仕事をしている人はもちろんですが、親とのコミュニケーションをもっとスムーズにしたいと考えている人も、この資格へのチャレンジを考えてみてはいかがでしょうか?
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