アップルウォッチは新時代の幕開けか? それとも……。
それは新型iPhoneと同時に発表された腕時計型端末「Apple Watch(アップルウォッチ)」だ。
いつかは出されるのではないかと噂はされていたし、ぼく自身も熱烈なアップルファンであるため大いに注目していたが、その内容は不安を感じさせるものであった。
腕時計型端末はすでに他社からも発売されているが今のところパッとしない。そのカテゴリーに後発として参入するアップルにはアップルらしい新機軸が期待されるが、腕時計型端末の成功の前には高い壁が立ちはだかっている。
それは実用性への限界だ。
30年前からあった腕時計型端末
腕時計型端末の発端ともいえるのは約30年前に遡る。小型で大容量のメモリが開発された際、腕時計に英単語をプリセットしたものが発売されたのだ。当時高校の同級生がその腕時計を学校に持参したことがある。英単語が表示されるためカンニングができるのではという疑いがもたれたが、先生がチェックしたところ、とても実用に耐えないとして試験中に使用するのさえ許されたほどだった。
その後も電話帳機能が搭載された腕時計などが発売されたが、どれも一部のマニア受けにとどまってきた。
2つの目的に特化された腕時計の形状
腕時計とは「時間を知る」ことと「ファッション性」という2つの目的に特化された形状をもつ。
それが情報端末として普及しないのは、その2つの目的に特化された形の中に、必然性のない技術や用途を詰め込もうとするからである。
メモリの小型化や液晶技術の高度化、通信モジュールの小型化など、技術の発展はめざましいが、それらは必ずしも腕時計が本来持つ機能や用途を高めるものとは限らない。
それがなぜ搭載されてしまうのか。