厚労省「日本人のカジノ利用禁止」に隠された狙い
厚生労働省が、日本版カジノにおいて、日本人の利用を認めないよう政府や関係省庁に対して働きかけていく方針が明らかとなったのだ。
ギャンブル依存症患者が増加する懸念がその理由とされるが、その裏にはまったく異なる、別の思惑が隠されていることに気づかなくてはならない。
それは日本参入を目論む外資カジノ企業への痛烈な「ブラフ」である。
カジノ解禁の大義名分
日本政府はビジットジャパン(Visit Japan)をスローガンに、外国人観光客を日本に呼び込もうと、様々な施策を講じている。カジノの解禁もその一つで、外国人観光客誘致の一翼を担う事業だ。
厚労省もその点は理解し、カジノの解禁には全く反対していない。しかし同省は依存症などの精神疾患対策を管轄する責任もあるため、カジノによって日本人にギャンブル依存症が増加することに警戒しなくてはならない。
方針は本当にギャンブル依存症への警戒のためか?
今回、厚労省の方針が明らかになると、メディアでは一斉に「カジノ解禁に暗雲」あるいは「カジノ熱に冷や水」といった否定的な言葉が並べられ、評論家や学者あるいは法律家までが、カジノによってギャンブル依存症が増えるか否かについて議論を戦わせる状況となっている。厚労省が使い分けたホンネと建前
しかし厚労省の方針を、額面通りに「依存症を巡る発言」としてとらえるとしたなら、賛成・反対どちらの立場かに関係なく、「木を見て森を見ていない」ことになる。なぜなら、今回の方針には、表と裏の2つの意図があるからだ。
表向きはギャンブル依存症を警戒するものだが、もう1つは、日本参入を目論む外資カジノへの「牽制」である。