消費税増税分はやむを得ないが・・・
物価高は今後も続くか?
え?そんなに上がったの?と思われるかもしれません。じつはこの配送料の値上げは法人ユーザーに対するものであり、私たち個人の配送料が大きく値上がりしたというわけではないのです。
個人で荷物を配送してもらう場合にも、本年4月以降値上げは実施されています。しかしそれは消費税増税分(3%分)の話であり、これに対して不快感を示すというよりもやむを得ないと感じる方のほうが多いことでしょう。
問題は法人ユーザーへの対応なのです。なぜここにきて消費税増税分とは別の値上げなのか気になる方も多いことでしょう。いろいろ理由は想定されますが、大きく分ければ下記のような理由が考えられます。
(1)他社も値上げを行い、単価重視の動きが見られること
ヤマト運輸だけが値上げを行っているわけではありません。他社も値上げが実は行われています。最近の傾向として1個あたりの配送料の単価が下落傾向にあったため、利幅が得られない状況を改善すべく、単価重視で不採算な状況は断ち切る流れができたと考えられます。
(2)物価上昇が要因?
これは運輸業界だけの話ではないですが、ガソリン高による配送コストの上昇や景気の上向きによる人件費上昇などにより、値上げせざるをえない環境がでてきたことが考えられます。
(3)商品のサイズに見合った配送料へ見直す動き
競争激化が引き起こした一つの問題として、どうしてもずさんな管理となる点を挙げることができます。クール宅急便を常温で仕分けしていたといった問題が昨年ありましたが、この根本的な要因は荷物の量が把握できていなかったこと。価格競争や荷物の取り合いが引き起こした現象なのです。
このような体制を見直し、配送品質を高めるべく、適正な料金体系にしたいという会社の考え方から、値上げへつながったということも理由といえます。
安かろう悪かろうの体質が改善されることはよいこと
市場競争において、価格の値引きなどが過当に行われるとどうしてもサービスの低下を引き起こします。私たちが配送業者に荷物の配送を頼むのは、確実に安全に届けてほしいこと。これが第一ではないでしょうか。安くて品質がよいのにこしたことはありませんが、大手運輸会社もギリギリのところだったのではと推測されます。安全に確実に届けてくれる体制であることを重視されるのであれば、こうした値上げも致し方のないことなのかなと思います。
値上げが行われたことにより品質管理が行き届くのであればよいとはいえますが、そうはいっても私たちの生活へも今後影響はでてくることでしょう。それは、法人ユーザーへの値上げが商品価格へ転嫁される可能性が十分あるからです。
特に、インターネット通信販売を行う業者など配送にコストが多くかかる業態の場合、この値上げの影響は利益率の低下をもたらすことにつながりかねません。既に多くの企業において、無駄なコストはカットしながら営業活動を行っているところが多いでしょうから、配送料の値上げ一つとっても死活問題となるところも出てくる可能性があります。
そう考えると、必然的に商品の値上げへ転嫁するしかないといえます。商品の値上げへ転嫁されれば、私たちの生活においても生活費があがることにつながるため、特にネットでの買物の頻度が高い方が打撃を受ける可能性があります(給料が物価上昇に応じて上がっていけば別かもしれませんが)。
今後も、宅配便のみならず、運送関連のコストが上昇し、それが商品などへの値上げにもつながるおそれは十分あります。値上げが良い経済の循環の流れとなればよいですが……。