工作・自由研究/夏休み自由研究

自由研究でコピペはOK?正しい引用の方法を学ぼう

夏休みの自由研究、パソコンやタブレットでササッと調べて終了! という小学生や中学生も今や珍しくなくなりました。けれど、お子さんの作品、よく見てください。何かのコピペだらけということはありませんか? 今回は正しい引用の仕方についてお話します。

高橋 真生

執筆者:高橋 真生

子育て・教育ガイド

同じクラスに同じレポートが2つ! あなたのお子さんは大丈夫?

丸写しレポートは、少し手を加えて自分の意見を付け加えれば、素晴らしいレポートに大変身するかも!?

丸写しレポートは、少し手を加えて自分の意見を付け加えれば、素晴らしいレポートに大変身するかも!?

文章・写真・絵・映像などには、その作成者だけが使う権利があるという著作権(コピーライト)があります。けれど、インターネット上の情報を簡単にコピペ(コピーして貼り付けること)できてしまう今、小学生でも、コピペは元より、自由研究サイトのプリントアウトに名前だけ書いて提出してしまうということがあるのです。その結果、同じクラスに全く同じレポートが2つなんてことも!

そこで今回は、レポートには欠かせない、正しい引用の仕方についてご説明します。
 

お子さんを叱る前に― 「コピペ」は悪いことじゃない!

お子さんの自由研究のレポートを見て、「本を丸写ししただけでしょ!」と叱ったことのある方、いらっしゃいませんか? でも、ちょっとお待ちください! もちろんそれだけではレポートとは言えませんが、ルールにのっとった丸写しやコピペは、レポートには必要なものなのです。

なぜならレポートには、他者の考えや意見が必要だからです。自分の考えの根拠として、それ以前に同じテーマを研究した人たちの考えを紹介しなければなりません。これまで積み立てられた先人の考えを理解し、その上で自分の意見を言うということですね。

そしてこれは、自由研究だけでなく、調べ学習や論文にも言えること。自由研究も学術論文も基本は同じ。慣れてしまえば簡単な、一生使える知識です。
 

他の人の意見はしっかり区別― 正しい引用の仕方

レポートに他者の意見が必要である以上、丸写しやコピペは悪いことではなく、むしろなくてはならないものだと考えましょう

レポートに他者の意見が必要である以上、丸写しやコピペは悪いことではなく、むしろなくてはならないものだと考えましょう

丸写しやコピペが悪いことだと思われがちなのは、正しく引用せず、自分の意見のように書いてしまうから。では、他者の意見は、どのように書けばいいのでしょうか。

本や図鑑、インターネットなどの文章をそのまま書き写して紹介することを「引用」と言います。引用するときには、その文章を「」(カギカッコ)でくくり、著者・出版年・タイトル・ページが分かるようにします。書き方の一例をご紹介します。
  • 引用した文章の近くに記入する場合
    引用文に続けて記入します。
    (例)私は、「ウサギの前歯はどんどんのびます」(ウサギ研究会(2013)『ウサギの話』動物出版 p42)ということから、次のように考えました。
     
  • 別に参考(引用)文献リストを作成する場合
    (例)引用文の後に番号をふり、リストにも同じ番号を記入します。
    【本文】私は、「ウサギの前歯はどんどんのびます」(1)ということから、次のように考えました。
    【参考(引用)文献リスト】(1)ウサギ研究会(2013)『ウサギの話』動物出版 p42
熱中して調べていくうちにごちゃごちゃになってしまうこともあるので、何かの文章を書き写す場合は、下記の2点に注意する習慣をつけることをおすすめします。
 
  1. 文章をそのまま書き写すこと(一字一句間違えないように。一文字でも変えてしまうと引用とは言えません)
  2. 文章をメモしたら、タイトルなど必要な事項も書くようにすること

インターネット上の情報の場合はURLとアクセス日、新聞の場合は日付と朝刊・夕刊なども上記の情報に合わせて記入しておきましょう。文章だけでなく、図表や統計なども同様です。

小学校低学年のうちは抜け漏れが当たり前ですが、「これは自分の意見かな?」「何かの本に書いてあったのかな?」というように確認してあげれば、案外慣れるもの。根気強く教える、周りの協力も必要です。
 

正しい引用のその先に― 「反対の意見」を単純否定しない力

些細な「マネ」でも嫌な気分になること、ありませんか?

些細な「マネ」でも嫌な気分になること、ありませんか?

著作権の侵害、作品の盗用というと大げさに聞こえるかもしれませんが、アイディアを持っていかれてしまう、真似されてしまうというのは、意外と多くの人が経験しているのではないかと思います。悪意のあるものでなくても、いい気持ちはしませんよね。

それは、大人でも子どもでも同じこと。自分が一生懸命書いた作品を守るという意味でも、他者の作品を大事にしていきたいものです。

また、自分の意見と他者の意見を分けて考えること、特に自分とは反対の意見についてきちんと向き合って考えることは、日常生活でも大切なことです。反対の意見を頭から否定するのではなく、立ち止まって考えられる力というのは、その力の持ち主の人生をより良いものに導いてくれるはず。

「引用」は目立たない行為ですが、自由研究に欠かせないだけでなく、考える力を育むきっかけになるもの。丁寧に取り組んでもらいたいと思います。
 

子どもの著作権学習に役立つサイト

はじめて学ぶ著作権
文化庁の小学生向けのページです。身近な題材でとても分かりやすく説明してくれます。

情報通信白書 for Kids 「著作権」
総務省のキッズページです。キーワード解説なので、簡潔な説明を読むことができます。高学年向き。

おしえてジャスラ 著作権ってなんだろう?
自由研究に動画を使用するお子さんは必見の、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)のキッズ用ページ。音楽著作権について学べます。こちらは入門編ですが、JASRAC PARKでは、応用編や音楽に関する自由研究についてなど、さまざまなコンテンツが掲載されています。


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