演劇・コンサート/おすすめ舞台・公演

劇場へGO! 2014年7~8月演劇ガイドお薦め舞台(2ページ目)

夏は元気がなくなるとも囁かれる演劇界。でも、今年の夏の劇場はいつにも増して熱いんです! バラエティ豊かな「エンタメの宝石箱や~」的なラインナップが勢揃い。と言う事で、演劇ガイド・上村由紀子が特にお薦めする『君となら』 『ショーガール』 『マホロバ』 『太陽2068』 『ウォー・ホース』 『窓に映るエレジー』 『ガラスの仮面』をご紹介しちゃいます!(7月22日『マホロバ』初日観劇レビュー追記)

上村 由紀子

執筆者:上村 由紀子

演劇ガイド

馬と少年の友情に世界中が泣いた!
『ウォー・ホース ~戦火の馬~』

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Photos (C) Brinkhoff/Mogenburg

舞台を観たスティーブン・スピルバーグ監督がその世界観に感動し、自らも映画化した『WarHorse ~戦火の馬~』。2011年のトニー賞5部門を受賞した舞台がいよいよこの夏、渋谷の東急シアターオーブで上演されます!

原作は100作以上の作品を世に送り出している児童文学の巨匠 マイケル・モーパーゴが1982年に発表した児童小説「ウォーホース」。第一次世界大戦下で軍馬としてイギリスからフランスに送られた馬のジョーイと、少年アルバートとの絆を描いた感動的なストーリーです。この舞台の見どころは何と言っても馬の”パペット”。パペットとは人間によって動かされる人形の事で、本作では皮と木と針金で作られた馬のパペットがまるで生きているかのように舞台上を駆け回り、繊細な演技で観客の心に訴えかけます。

実は海外から来る作品を来日物と言うだけで評価する風潮は好きではないのですが、『ウォー・ホース』でパペットの製作を担当した南アフリカのハンドスプリング・パペット・カンパニーのメンバーがサクっと「馬の耳の部分を完成させるのに25年かけたんだよ。」なんて笑顔で答えているのを見ると「に、25年?こ、これは……敵わない。」と感嘆せざるを得ません。パペットを操る俳優達はイギリス陸軍に体験入隊をして馬と生活を共にする事でその生態をじっくり観察したそう。こうして不可能とも言われた舞台化が実現したんですね。

『ウォー・ホース』メイキング番組でナビゲーターとして作品の魅力を紹介する石丸幹二さんからコメントが届いています。

石丸

石丸幹二さん

石丸幹二さんコメント】
第一次大戦下の英国、慈しんで育てた愛馬を軍に奪われてしまったアルバートは、志願兵となって、その行方を追う……。終演後、深い感動が劇場を満たし、すすり泣く声があちこちから耳に届く。満場の観客は立ち去り難い想いを胸に、物語の余韻に浸っていた。
「War Horse」、心洗われるひと時を、ぜひ。

(『ウォー・ホース』メイキング番組は7月27日(日)11時30分~12時 BS‐TBSでのオンエアになります。)

児童文学が原作という事もあり、大人からお子さんまで幅広い世代の心に響く作品だと思います。あなたも是非劇場で心の柔らかい部分と向き合ってみて下さい。忘れていた何かと出会えるかもしれません。

『ウォー・ホース ~戦火の馬~』 → 公式HP


アイツらが渋谷にやって来る!
ジョンソン&ジャクソン 『窓に映るエレジー』

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ジョンソン&ジャクソン『窓に映るエレジー』


”演劇”には色々なタイプの作品が存在します。感動巨編、ハートフルコメディ、不条理劇、文芸大作、白塗りで暴れるヤツ、舞台から水や色んなモノを撒いちゃうアレ……etcetc。勿論、客席で感動に打ち震えるのも、イケメンに心ときめかせるのも正しい観劇スタイルではあるのですが、夏の大人の一夜の夢にこんな舞台は如何でしょう。

2012年のナイロン100℃伝説の番外公演『持ち主、登場』でナンセンスコメディの新機軸を築いた俳優・大倉孝二さんと劇作家・演出家のブルー&スカイさんが結成した演劇コンビネーション「ジョンソン&ジャクソン」。既にビジュアルではどこの国の人なのかも分からなくなっている彼らが渋谷の街で静かに暴れます。

本作『窓に映るエレジー』のコンセプトは「くだらない、何の役にも立たない芝居作りを、澄み切った思いで目指す。」と言う事ですので、観客もゆるめのモードで客席に座り、目の前で展開するナンセンスな世界観にただ身を任せるのが多分正しい観劇作法。出演は大倉孝二さんに加え、村岡希美さん、池谷のぶえさん、そして演劇界のチームリーダーの1人・池田成志さんら、真剣にふざけさせたら超一流の俳優陣。彼らが素晴らしい技術と比類なきキャラクターで私達を笑いと脱力の世界に連れ出してくれる筈です。恋愛や仕事、家庭内別居にもう疲れたよパトラッシュ……なんて時には是非シブゲキへGO!

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演劇cafe vol8 大倉孝二さん 池田成志さんインタビュー!  

ジョンソン&ジャクソン『窓に映るエレジー』 → 公式HP


「マヤ…恐ろしい子…」 2人の運命の行方は?
『ガラスの仮面』

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(C)美内すずえ 『ガラスの仮面』


舞台や演劇にさほど興味はなくても、超ベストセラー漫画『ガラスの仮面』にはハマった事がある……なんて方は多いのではないでしょうか。1975年に連載を開始し、現在までに単行本49巻が刊行されて累計5000万部を超える売り上げを記録している本作が、この夏5度目の舞台化を果たします。

一見普通の少女、だが実は天才である北島マヤと、大女優と映画監督の間に生まれた演劇界のサラブレッド・姫川亜弓の2人を描いた演劇大河漫画『ガラスの仮面』。約40年に渡る連載で、未だ2人のどちらが伝説の舞台『紅天女』に出演するのか決まらないという怖ろしくスローリーな展開の中、ファン1番の関心事は今回の舞台化で一体どのエピソードが使われるのか……ココですよね?

G2さんが脚本・演出を担当する今回ピックアップされるのは、『奇跡の人』のヘレン役で成功を収めたマヤが芸能界入りし、欲望渦巻く大人の世界で生きる【華やかな迷路】編と、罠にはまり芸能界から追放されたマヤが再び演劇への情熱を取り戻し、亜弓と『ふたりの王女』で共演する【冬の星座】編。かなりドラマティックで濃い展開が期待されるエピソードですが、もしかして脇キャラとしてカルト的人気を誇る”乙部のりえ”や”泥まんじゅう”のシーンも登場するかもしれません……わくわく。

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『ガラスの仮面』キャスト陣

これまで香坂みゆきさん、大竹しのぶさん、大和田美帆さんらが演じてきた北島マヤ役には貫地谷しほりさん。藤真理子さん、奥村佳恵さんが演じた姫川亜弓役にはマイコさん、マヤに思いを寄せる若手俳優・桜小路優役に関西ジャニーズJrの浜中文一さん、更に南美江さん、夏木マリさんが担当した伝説の女優・月影千草役には一路真輝さんを配し、あの”ガラかめ”の世界を立体化する本作。原作では「見える……本当に嵐が見えるわ。」 「あの子が舞台に立つと空気が変わるのよ。」等、観客達の”ザワザワ ザワザワ”もアリですが、実際の観劇ではどうかお静かに。(観劇中の私語はダメよダメダメ)。

『ガラスの仮面』 → 公式HP

如何でしょうか。この夏は熱い舞台が多く、通常より多い本数の作品をPick Upしてご紹介しました。こうやって並べてみると「演劇」って本当に沢山のジャンルがあるんだなあ、と改めて実感します。お祭りや花火大会、アウトドアも楽しいですが、「演劇」が元気な2014年の夏……あなたの心に残る1本を見つけて忘れられない思い出を作って下さい。


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