動き出した日本のカジノ解禁
動き出した日本のカジノ解禁
ついに動き出したカジノ解禁
日本におけるカジノ解禁を進めるため、超党派の国会議員により提出されていた「カジノ推進法案」が、先の国会の会期ギリギリで審議入りした。今後は秋の国会で継続審議され、可決されれば2020年東京五輪に間に合うよう、カジノ設置に向けた具体的作業が進められることとなる。
今なぜカジノなのか?
先の国会で審議入りしたカジノ推進法案(通称「カジノ法案」)。ニュースで目にし、やや唐突感を持つ人もいるかもしれないが、実はこの議論は10年以上も前から行われてきたものだ。
推進論の一方で反対論も根強く、毎年のように法案提出が試みられてきたが、いつも寸前で止まっていた。そのわけは、カジノ解禁を歓迎する有権者がいる一方、ギャンブルを忌み嫌う有権者も少なからずいることで、選挙への影響を恐れた各党が、揃って尻込みしていたからだ。
財政上の理由
そんなカジノが、ここに来て本格的に検討されるのは、一にも二にも国の財政問題だ。日本はいま税収減に苦しみ、国家予算の不足分を巨額の赤字国債に頼る異常事態に陥っている。さらに少子化による国内消費の落ち込み、社会の高齢化に伴う福祉予算の増加といった要因が加わり、国の財政はにっちもさっちも行かない状況まで追い込まれている。
そんな状況の打開策として、増税以外の手段として着目されたのがカジノによる税収と雇用拡大だ。
きっかけは2020年東京五輪招致決定
その動きを一気に後押ししたのが2020年東京五輪の誘致決定だ。五輪は東京都のみならず国の一大イベント。その開催に合わせ、カジノをはじめとした複合的な施設を設置し、相乗効果を狙おうというのだ。
スポーツイベントとカジノは相性がよく、2010年バンクーバー五輪の際も、観戦した外国からの観光客が連れ立ってバンクーバーのカジノに行きゲームを楽しむ姿が見られた。
東京五輪はお台場を中心とした湾岸エリアに会場が設けられるが、その近くにカジノが設置されるなら、環境としてはバンクーバーに近いものとなり、相乗効果も期待できる。
シンガポールの大成功が
危機感となって後押し
政府が本腰をあげたもう一つの理由は、アジアのライバルであるシンガポールの成功にある。シンガポールにカジノが設置されたのは2010年。それから4年となる今年、カジノは2カ所しかないにもかかわらず、その利益は1兆円に届くとさえ言われている。
シンガポールのカジノは巨大なコンベンションセンターとの複合型であり、ショーなどの充実したエンターテインメントが併設されたリゾートとなっている。これが外国からのビジネス客にとって大きな魅力の一つとなり、多くのコンベンション誘致につながっている。
しかし、裏を返せば、そんなシンガポールの複合型カジノが、アジア向けのビジネス客を日本から奪うことに深刻な影響も与えはじめている。
理由は簡単で、外国でビジネスショーを開く場合、ビジネス以外にも様々な魅力的選択肢がある国が選ばれて当然だからだ。
いまだ残る反対論
ついに動き出したカジノ解禁だが、依然としてカ反対論があるのも事実だ。それらは治安の問題やギャンブル依存症などを危惧する意見など様々だ。次回はその点について論じたい。日本のカジノ解禁は、かつてないほど大きな変革でもあるため、今後何回かに分けて論じていくこととしたい。