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耳瘻孔・先天性耳瘻孔とは……腫れ・臭いがあれば手術も【画像あり】

【皮膚外科医が解説】耳瘻孔とは、生まれつき耳の前にある小さな穴で、2~3%の人に認めます。通常は問題ありませんが、炎症を起こし腫れたり臭いのある膿が出てくるような場合には、手術による治療が必要です。実際の画像を含め、耳瘻孔の症状、治療などについて説明します。

野田 真喜

執筆者:野田 真喜

皮膚外科医 / 皮膚外科ガイド

耳瘻孔(じろうこう)・先天性耳瘻孔とは

耳瘻孔

耳の前に小さな穴が見られる「先天性耳瘻孔」。穴から白い垢が出たり、臭いのある汁が出ることがあります

 
耳瘻孔undefined感染していない状態

耳瘻孔 感染していない状態

耳の前に小さな穴があり、そこから白い垢が出たり、臭いのある汁が出たことのある人はいませんか? この小さな穴は生まれつきのもので、「先天性耳瘻孔」といいます。

 
耳瘻孔undefined図説

fig.1 耳瘻孔 図説

 

小さな穴は皮膚の下で管上のトンネルとなっており、長さはまちまちですが、通常は盲端(行き止まり)となり終わっています(fig.1)。

 
耳瘻孔のできやすい部位

fig.2 耳瘻孔のできやすい部位

耳(耳介)や耳の周囲にでき、半分以上は耳珠(耳の穴の前の出っ張り)の前方または上方の、耳輪脚前方に認めます(fig.2)。

 
 

耳瘻孔の特徴(遺伝性など)…腫れや臭いがあれば要受診

耳瘻孔は生まれながらに存在し、女性に多く、左右どちらにも同じ割合で出来ます。もともと耳(耳介)は、お腹の中で、6個のパーツから出来上がっていきますが、その過程のなかで生じます。日本人では100人に2~3人程度と言われ、頻度の高いものです。遺伝性も言われています。

感染を起こさなければ治療の必要はありません。しかし感染を起こし、周囲の皮膚が赤く腫れ上がったり、小さな穴からどろっとした臭いのある汁が出てくることがあります。そのような場合は治療が必要です。形成外科もしくは、耳鼻科を受診して下さい。
 

耳瘻孔の治療……麻酔、手術について

耳瘻孔治療は手術です。感染を起こしている場合は抗生物質を内服し、感染が落ち着いた頃に手術を行います。

麻酔は、年齢や耳瘻孔の状態により局所麻酔か、全身麻酔が選択されます。

まず、小さな穴からピオクタニンという色の付く薬を注入し皮膚の下のトンネルを確認します。トンネルは皮膚で覆われており、小さな穴とそこから続くトンネルをすべて取り除きます。その後皮膚を縫合して終了です。何度も感染を繰り返していたり、皮下のトンネルが複雑な場合など、少し大きな切開が必要になることもあります。まれに再手術が必要な場合もあります。 皮膚が赤く腫れる、膿が出る、痛みがあるなど炎症のサインがあれば、早めに形成外科を受診して下さい。

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