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新1年生に贈りたい『ランドセルがやってきた』

人気絵本作家コンビ、中川ひろたかさんと村上康成さんによる『ランドセルがやってきた』。新1年生の象徴、ピカピカのランドセルが小学校生活への期待や楽しみを広げる様子を、主人公のはつらつとした姿を通して描きます。

執筆者:千葉 美奈子

1年生への期待感がギュッと詰まった『ランドセルがやってきた』

新1年生の象徴といえば、やっぱりピカピカのランドセル! 自分のランドセルが目の前にある、ただそれだけで、小学校生活への期待や楽しみは無限に広がります。そんな新1年生のはつらつとした姿を描いた、人気絵本作家コンビ、中川ひろたかさんと村上康成さんによる『ランドセルがやってきた』。主人公のうみひこくんの様子を見ていると、温まった心がふんわりと弾みます。

 


大人もかつて味わったことのあるこんな気持ち、あんな気持ち

ある日、うみひこくんが幼稚園から帰ってくると、おじいちゃんからのサプライズプレゼントのランドセルが届いていました。「そういえばおじいちゃんに好きな色を電話で聞かれたことがあったな」と、うみひこくんは思い出します。大好きな青色のピカピカのランドセルを背負ってみると、まだまだうみひこくんよりランドセルの方が大きな存在感。「おとなりのたけしくんのランドセルはすごく小さいのはどうしてだろう」と不思議に思ううみひこくんに、お母さんがそのわけを教えてくれます。お母さんの言葉によってうみひこくんは、6年生になって大きくなった自分がランドセルを背負っている姿を、ボーっと思い浮かべているようです。

教科書はまだないから、家にある色々な物を詰めて、外にお散歩へ。すっかり1年生になった気持ちのうみひこくんの表情はキリッと締まり、背筋を伸ばし、学校での勉強についても思いを巡らせます。しかし、ランドセルにまつわるお約束の失敗をしてしまうところは、やっぱり新1年生! この失敗、多くの方も、かつてランドセルにまだ慣れていなかった新米小学生のころ、やったことがあるのではないかなあと思うのです。ぜひ、ページをめくって、すました顔のうみひこくんの失敗に、微笑んであげてくださいね。


ランドセルを取り巻く思い

まだ体にフィットしないランドセルを背に、4月からの生活に思いを膨らませている、こんな新一年生うみひこくんの姿をだれよりも見たいのは、ランドセルをプレゼントしたおじいちゃんでしょうね。ランドセルに無我夢中になっていたうみひこくんは、大事なことを思い出し、ダッシュで家に戻って電話に突進! ラストページをめくると、描かれてはいないけれど、おじいちゃんの笑顔が目の前いっぱいに広がるようです。ランドセルにおめでとうの思いを託したおじいちゃんの気持ちと、うみひこくんの喜びが呼応する場面です。

「ランドセルがやってきた」。この思いは、子どもだけでなく、親にとっても大きな思い。特に最初のお子さんの場合には、親にとっても未知の「小学生の親生活」の始まり。これから始まる小学校生活で起こる様々なことを、子どもが毎日背負って出かけ、帰ってくるランドセルに重ね合わせることになるでしょう。


ぼくのランドセル

ところで、私が子どもの頃の30数年前に比べて、最近のランドセルは本当に丈夫になりました。周りのお母さん方も、よく同じことを口にされます。昔だったら高学年にもなれば、あちこち色がはげてきて、傷みも目立ち始めていた記憶があるのですが、我が家の一番上の子が6年間使ったランドセルは、「まだまだたくさん働けるよ!」と全身で主張する、新品に決して引けを取らないきれいさと丈夫さを保っています。そのランドセルはこの春、その子の卒業と入れ替わりに小学生になる弟に贈呈されます。弟から見れば、その存在を通して兄の小学校生活を想像してきたランドセル。弟の所に、「ぼくのランドセル」としてやってきます。現在の姿から思うに、きっとまた6年間、新しい小学生の毎日を見守る力強い存在になってくれることでしょう。
 
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