台本アレンジの例
出題文にある『20人の3歳児クラスの幼児に集中して話を聞かせる時間』という場面設定にふさわしい台本とは、どのようなものなのでしょうか。今回は、例として『こすずめのぼうけん』というおはなしの冒頭部分を、アレンジしてみます。原文を引用したあと、アレンジ例を紹介していきます。
(参考作品) こすずめのぼうけん / ルース・エインズワース作・福音館書店
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⇒アレンジ) あるところに、すずめの子がいました。あるところに、いちわの こすずめが いました。
その こすずめは、おかあさんすずめと いっしょに、きづたの つるのなかに できた すのなかに すんでいました。
⇒アレンジ) ある日、すずめの子は、一人で遠くまで飛んでみることにしました(※1)。さて、この こすずめに、やわらかい ちゃいろの はねがはえ、つばさを ぱたぱた させることが できるようになると、あるひ、おかあさんすずめが、とびかたを おしえはじめました。
(中略)
「はたけを こえて、そのさきの いけがきを こえて、そのさきの かわを こえて いける。
ぼく ひとりで、せかいじゅうを みて こられる」
そういって、こすずめは、はねを いよいよ はやく、ぱたぱた うごかしました。
⇒アレンジ)ところが・・・ しばらく行くと、疲れて飛べなくなってしまったのです。はじめのうち、こすずめは、とぶのは、とても おもしろいことだと おもいました。
ところが、そのうち、すこしずつ はねが いたくなってきました。
それから、あたまも いたくなってきました。
これでは、どこかで とまって、やすまなくてはなりません。
「疲れたなあ・・・もう飛べないよ。どうしよう・・・」
(※2)
⇒アレンジ)そのとき、にれのきの てっぺんに、とりの すが、ひとつ あるのが みえました。
こすずめは、その ふちに とまりました。
それは、こえだで できた おおきな だらしない すでした。
「あの、すみませんが、なかへ はいって、やすませて いただいて いいでしょうか?」こすずめは、ききました。
その すのなかには、おおきな くろい からすが、すわっていました。
「おまえ、かあ、かあ、かあって、いえるかね?」と、おおきな くろい からすは、いいました。
「あ!あそこにカラスさんのおうちがある。行ってみよう!」
「こんにちは。入ってもいいですか?」
すると、カラスは言いました。
「きみは、かぁかぁかぁって、言えるのかい?」
(※2)
いかがでしょうか?
※1のように、単語の数を大幅に減らし、言い回しを簡潔に調えたり、※2のように、ナレーションで複雑に表現されている部分はセリフに置き換えたり、語順を並べ替えるなどして、絵が無い状況でも、あらすじがスムーズに伝わるような工夫をしました。
次のページでは、おはなしをする場面や状況によって、伝わり方や、相応しい話し方が全く違ってくる、ということを解説します。