乗り心地、静粛性もクラスを完全に超越
試乗車のTSIハイラインには、オプションのアダプティブシャーシコントロール「DCC」が装着されていた。これは電動パワステやダンパーの減衰力を調整できるシステムで、「スポーツ」、「コンフォート」、「ノーマル」、「エコ」、「インディビジュアル」を用意している。
「コンフォート」にすると、Dセグメント、さらにはEセグメントの高級サルーン顔負けの乗り心地を提供してくれるからビックリさせられた。もはやBMWの3シリーズやメルセデスのCクラスではなく、5シリーズやEクラスの領域に到達している。
つぎに乗ったTSIコンフォートラインは、1.2LのTSIで同じく7速DSGとの組み合わせ。SOHCからDOHCに変更されている。ハイラインの140ps/250Nmと比べると、105ps/175Nmは心細く感じるものの、軽くてしかも剛性感の増した新型ゴルフならまったく不満はない。急な登りでDレンジのままだと少し線の細さを感じさせる程度。加速がもの足らなければ、パドルシフトでシフトダウンすればすぐに力強い加速をしてくれるから実用上は1.2Lで不足はない。
グレード選択は悩ましいが、新型ゴルフらしい比類なき完成度という点ではTSIハイラインが濃厚だからこちらを選びたい。しかし、1.2Lのコンフォートラインでもトレンドラインでも満足度はすこぶる高いはずだから悩ましいところだ。
日本車との差はより広がった!?
インパネの質感も期待を裏切らないもので、とくにTSIハイラインは高級車然とした雰囲気を味わえる。パドルシフト、アダプティブクルーズコントロールはTSIハイラインに標準。中央の大型モニターではオーディオや車両設定、走行モードなどが表示されるが、導入時はナビは用意されない
あらゆるシーンで完成度の高さを実感できる新型ゴルフだが、日本では欠かせない純正ナビが間に合わず、現状ではオプションのオンダッシュになってしまうのは、やや慌ただしい日本導入を物語っている。タッチスクリーンの新型ナビは、年内にはなんとかということなので、どうしても気になるという人はそれまで待つのも手かも。
メルセデス・ベンツのAクラス、Bクラス、ボルボV40、フォード・フォーカスなどCセグメントにはニューカマーが続々と登場しているが、トータル性能では断然、新型ゴルフ7が大きくリードしている印象。
クルマ選びは、「完璧な物さえ選んでおけば万事OK」というものではなく、多少の欠点を見逃しても長所を買いたい! という心理がクルマ好きであるほど働くもの。しかし、新型ゴルフに乗ってしまうと、完成度は一段も二段もライバルより上にあるなと実感させられる。しかも、この快適性や走行性を同クラスの日本車ではまったく実現できていない、というのも再認識させられた次第だ。