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採用に過ちはないのか

企業にとって採用の失敗は、個人にとっての転職の失敗でもあります。どちらにとっても損失は大きいですが、なかなかこうした失敗はなくならないようです。お互いに、相手が求めていることをもっと正確に事前に理解できれば、こうしたミスマッチは減っていくかもしれません。

小松 俊明

執筆者:小松 俊明

転職のノウハウ・外資転職ガイド

個人の転職活動と企業の採用活動は表裏一体

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採用の失敗は企業にとっても痛手

採用とは、「人選び」のことです。たとえば、新卒採用や中途採用の選考過程で誰を最終的に採用するかについて決断するのもその一つでしょう。海外駐在や国内の赴任地で働く人の後任者を決めることも「人選び」です。ほかにも、二人のうちのどちらかを管理職に昇進させようとする際、そこにも「人選び」があります。事業活動にとって大切なこうした「人選び」の現場で、「過ち」が起きることはないのでしょうか。転職活動をしていると、採用される側の視点でモノを見がちですが、ここでは求人企業の立場から転職活動(優秀な人材の採用)を見てみることにしましょう。

中途採用の現場で最初にすることは、採用のプロセスを決めることです。つまり、誰が最初に面接をするか、その次は誰にして最終的には誰が面接するかという具合です。実質、発言力の強い人の独断で決まってしまうような採用がないわけではありませんが、通常は複数の目を入れて総合的に判断することになっています。

採用の過ちは日常的に起きている

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人選びは容易なことではない

採用には多くの人たちの目が入っています。それにもかかわらず、各社でこれほどまでに「採用の失敗」が繰り返されているのはなぜでしょうか。そこには、はっきりとした原因があるのではないでしょうか。

実は、わかっていることはいくつもあります。その最大のポイントは、「面接官の間に評価基準に対する共通認識ができていないこと」です。せっかく複数の人の目を入れているのにもかかわらず、それぞれの面接官が共通の評価基準をもって判断しようとしていないのです。つまり、それぞれの面接官が自分の価値観と評価軸で勝手な判断をすれば、複数の目が入ったことはかえってマイナスとなるかもしれません。

「適切な人材選び」であるはずが、その適切な人材像が人によってぶれていることで、最終的な判断に混乱が起きてしまっているのです。こうした採用の現場では、一定の基準でスクリーニングを何度も念入りに行ったのではなくて、ばらばらの測定方法で健康診断をしているようなものなのです。評価する基準値が異なれば、ある医者は患者をメタボリックであると診断し、もう片方はメタボリックではないと診断してしまいます。その判断によって処方箋も異なるとしたら、それは一大事ではないでしょうか。

採用の過ちは繰り返される

結局、こうした現場の混乱を解消できないまま採用活動を継続すると、次の二つのことが起きます。能力がある人を選考のプロセスで見逃してしまうことがひとつです。もう一つは、明確な判断がつかないため、その組織の中でより立場が上の人、つまり権力のある人に最終判断を丸投げしてしまうようにもなります。これによって、好き嫌いの採用が横行し、優秀な社員が辞めてしまうという、別の問題も生まれるようになります。

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