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Wii UはWiiの失敗を繰り返すか その2(2ページ目)

前回のゲーム業界ニュースでは、据え置きハードの普及台数でトップであるWiiが、市場において後半勢いを無くしてしまった点について、発売タイトル数が伸びなかったことをお話しました。今回は、なんでタイトル数が伸びなかったのか、その問題について考えてみます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

何の為にWiiは買われたか

Wiiの図

良くも悪くも、みんなで使うゲームハードで、ソフトもその傾向通りに売れていきました

こうなると、サードパーティーのソフトが何故売れなかったのか、というのが気になります。それは、Wiiというハードが何のために買われたのか、ということを考えると少し見えてきます。Wiiは本体発売同時タイトルであるWiiスポーツが大変な話題になり、勢いをつけたハードです。その結果多くの人が、カンタンで直感的な操作で楽しめるゲームを家族みんなで遊ぶ、という目的でハードを購入しました。

結果、Wiiは、複数人が一緒に楽しめるマルチプレイが面白いものや、あるいは同時にプレイはしないものの、みんながゲームに関われる「Wii Fit」のようなものが売れて行きました。Wiiの売り上げベスト10を見ると、「NewスーパーマリオブラザーズWii」「マリオカートWii」「Wii Fit Plus」「Wii Party」などなど、見事にこのどちらかのソフトに分類できます。そしてこういったゲームは、作るのも、売るのも、圧倒的に任天堂に力がありました。逆に、1人でじっくり遊べるRPGのようなジャンルは1つも入っていません。

1人用のタイトルが全く売れていないかというと、もちろんそんなことも無いのですが、一定の傾向があります。1つは、スーパーマリオギャラクシーシリーズや、星のカービィシリーズなど、任天堂の強力なシリーズタイトル。これらは一定の規模で売れているため、じっくりとゲームを遊びたい任天堂ファンがいることが考えられます。

その他というと、モンスターハンター3や、ドラゴンクエストシリーズなどで、超がつくほどのブランド力を持ったサードパーティーのタイトル。その他中堅以下のゲームとなると、中々実力通りの販売本数を獲得するのが難しく、また、サードパーティーが自分の土俵で戦えないと判断して、積極的な展開をあまりしない状況にもなっていきました。こうなると、どうしてもタイトル数は伸びていきません。

任天堂自ら、売れないことを実証した

ゼノブレイドの図

ゼノブレイドは大変にユーザーの評価も高く、もっと売れてもいい、もっと売れて欲しいタイトルでした

この状況を打破するべく、任天堂は自社タイトルをサードパーティーと協力して開発したり、サードパーティーのメーカーによる開発タイトルを任天堂から発売するなどの試みによって、2010年から2011年にかけて次々とWiiで遊べる1人用のタイトルを投入しました。サードパーティー製の1人でじっくり遊べるゲームでも、質の高いソフトを、しっかり宣伝して売れば市場はあるのではないか、というチャレンジです。

「斬撃のレギンレイヴ」、「ゼノブレイド」、「METROID Other M」、「THE LAST STORY」、「パンドラの塔 君のもとへ帰るまで」などが次々と発売されましたが、この中で最も売れたのがゼノブレイドとTHE LAST STORYで約16万本。残りは数万本と、Wiiの状況を大きく変えるには至りませんでした。

THE LAST STORYの約16万本という結果などは、完全新作で10万本を超えたとなれば健闘と言ってもよい結果かもしれません。しかし、全体としては任天堂の販売力を持ってしてもWiiで1人でじっくり遊ぶゲームを大ヒットさせるのは難しい、という印象を与えてしまったように感じます。

Wii Uがタイトルラインナップを揃えていく為には、Wiiで起こったこのような状況を変えていかなければいけません。
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