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銀座ヨシノヤ13年春の新作(2ページ目)

日本の手作り紳士靴の伝統を守るのに大きな貢献を果たしている、銀座ヨシノヤ。2013年春の新作は、今まで以上に細くかつ低い、待望の”E”木型です。他にもお馴染み九分仕立ての進化版やこの靴店らしいデザインのものも、色々とご紹介致します。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

僅かな違いで、見た目も変わる!

ダブルモンクundefined黒

こちらも創業105周年記念モデルと同じベビーカーフとゴートスキンのライニングを用いたダブルモンクです。土踏まず部の出し縫いを手縫いとし、それより前のみを機械縫いとした「ハンドソーン・ウェルテッド製法九分仕立て」の上級編を採用しています。税込15万7500円(銀座ヨシノヤ 銀座四丁目店 TEL:03-3562-3871)

続いてのご紹介は、前ページの”E”とまでは行かないまでも細目の足の方に好評を博している木型を用いたダブルモンクストラップです。こちらの靴にもアッパーは105周年モデルと同じ、例の製造元が一切明らかにされていない柔らかなベビーカーフが使われ、ライニングの後半分もそれと同じゴートスキン(山羊革)が奢られているので、足を入れる途中から頬が緩む・足が溶けてしまいそうなくらいの異次元の快適さを誇ります。が、この靴の最大の特徴は、それではありません。

ズバリ底付けの方法が、さらに「手」の込んだものになったのです。銀座ヨシノヤの紳士靴の看板商品に多く用いられているハンドソーン・ウェルテッド九分仕立てでは、ウェルト(細革)とアウトソールとを接合する出し縫いのみが機械縫製になっていますが、そのうち土踏まず部をこの靴では手縫いに置き換えました。このやり方はかつての日本の紳士靴製造でも相当珍しいものだったようで、言わば「九分仕立て」と底付け全てが完全に手縫いの「十分仕立て」の中間であり、今回はそれを本格的に採用した訳です。

底面undefined新作と九分仕立ての比較

向かって左が新作の靴、向かって右が従来の九分仕立ての靴です。土踏まず部のアッパーの見え方が異なりますよね。これまでの九分仕立ても十二分に素晴らしい造りなのですが、この立体感の違いは、そのまま履き心地の違いにも繋がります。

その違いは上の写真で一目瞭然! 土踏まず部の出し縫いを手縫いにすることで、九分仕立てでも十分過ぎるほどメリハリのあるこの部分が一層、立体的に造形できるのです。向かって左の新作には土踏まず部の中心に、弦楽器の背面の形状に似ていることから「フィドルバック」とも呼ばれる尾根筋のようなものが浮き上がって見えますよね。これはアウトソールの内側に詰め物などして意図的に出したのではなく、ここを手で出し縫いした結果自然に出たもの。それに比例して履き心地も更に足に優しいものになり、特に外踝側の「第三のアーチ」の乗りが非常に心地良く感じます。

簡単に申せば、この新作はこれまでの九分仕立ての上級バージョンにあたります。見た目のみならず履き心地も確実に前進しているので、今後は既製品のみならず、好評のため銀座四丁目店では遂に常設となったパターンオーダーでも受け付けていただきたい! そしてできれば、前のページの新木型でも作っていただけるとなおうれしいのですが。
ダブルモンクundefinedバーガンディ

上の靴と同じダブルモンクですが、アッパーをバーガンディ色にすると更に華やかな印象が加わります。柔らかな革質を活かすべく、デザインパターンにはトウキャップもブローギングも施さず、シンプルさを貫き通しています。税込15万7500円(銀座ヨシノヤ 銀座四丁目店 TEL:03-3562-3871)



【商品案内】
◎ ダブルモンクストラップ
・色: 黒、バーガンディ(共にベビーカーフ)
・バックルの色: 銀色
・底材: シングルレザーソール*レザーダブテイルヒール(半カラス仕上げ)
・製法: ハンドソーン・ウェルテッド九分仕立て(土踏まず部の出し縫いは手縫い)
・サイズ: 23.5~27.0 EE
・価格: 15万7500円(税込)


最後のページは、ご存じ「九分仕立て」の話題作のご案内!
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