2001年にデフォルトしたアルゼンチン
アルゼンチンは最近経済が好調だったが……
最近に起こったのが、2001年のデフォルト。このとき、アルゼンチンがデフォルトを宣言し、アルゼンチン国債は一旦価値のない紙切れになってしまいました。アルゼンチン国債は日本の自治体や企業も買っていたところが多く、それらの企業は財務的に大きなダメージを受けました。
その後、国内は食べるに困るほど悲惨な状況に。しかし、デフォルトしたため、通貨・ペソが下落。それによって国産農産物の輸出が回復し、数年後には、経済はかなり回復軌道に乗って現在に至っています。
しかし、このときの「デフォルト」はまだ完全に終わったわけではなかったのです。
債務交換に応じなかった一部の債権者
一旦紙切れになったアルゼンチン国債を持っていた債権者には、その後アルゼンチン政府が新国債との債務交換を提案しています。この提案は2005年と2010年に2回行われ、アルゼンチン政府が提案した新国債は前の国債よりも70%余り価値の低いものでした。つまり、強制的な7割強の債権放棄です。債権者のうち92%程度がこの債務交換に応じたのですが、残りの8%は拒否。
その8%は主にヘッジファンドなどの投機筋だといわれていますが、これらの債権者が「このような強制的な債権放棄は違法である」と主張し、それを認めないようにする訴えをアメリカの連邦地裁に起こしたのです。
認められた訴え
昨年2012年10月末に、米連邦地裁は債権者側の訴えを認める判決を下しました。こうなると、アルゼンチン政府は訴えを起こした債権者に対して、国債を返済しないといけません。その額は13億3000万ドル(約1180億円)。アルゼンチンのGDPは2011年で4500億ドル(約40兆円)なので(日本の約10分の1)、金額的には絶対払えない額ではなさそうです。問題は、アルゼンチン政府が「絶対払わない!」という姿勢を表明していること。払わなければ、2001年に続くデフォルトとなります。
この判決を受けて、格付け会社のフィッチはアルゼンチンの格付けを「B」から「CC」へと5段階格下げするなど、アルゼンチンの財政危機が高まっています。