カフェ/吉祥寺・荻窪・国分寺・青梅のカフェ

ねじまき雲(陽)…国分寺(3ページ目)

新刊書籍『東京カフェ散歩 観光と日常』に掲載したお店の中から、青梅から国分寺に移転したねじまき雲(陽)のページをご紹介します。魂に沁みるコーヒーと出会える場所。

川口 葉子

執筆者:川口 葉子

カフェガイド

青梅時代の記憶

ねじ、歯車…小さくて不思議なものたち

ねじ、歯車…小さくて不思議なものたち

二〇〇六年に青梅街道沿いの古びた一軒家で開業。長沼さん、通称ネジさんが焙煎する珈琲の香りがたちこめる店内には、山や森から降りてきたような気配を持つ古道具や、ねじまき雲を愛するアーティストたちから贈られた創造物が並び、ゼンマイ式の柱時計が空中に小さな音を刻印していた。
(青梅時代のねじまき雲のご紹介記事

多くのお客さまを魅了したにもかかわらず、より良い珈琲環境を求めて、移転準備のため一一年に休店。私は二度とお店が再開されないのではないかと危ぶんだ。一度中断したものを再始動させるには、一からのスタートより何倍ものエネルギーを必要とするから。

陰陽の世界観のもとに

テーブルは古材を組み合わせて店主が製作したもの

テーブルは古材を組み合わせて店主が製作したもの

しかし一二年春、ねじまき雲は新しい街でみごとに再開を果たしてくれた。スケールの大きな陰陽の世界観のもとに、旧店舗を「陰」、新店舗を「陽」と位置づけ、両者を合わせてねじまき雲とする。

陰は内なる世界を深く掘り下げ、焙煎と抽出を探究する場。陽は外の世界へ向かい、お客さまに珈琲の愉しみをひろげる場。闇が深まらなければ星々の光は輝かず、光が射さなければ影は生まれない。おそらく、人間の心も同じなのだろう。

二人はこつこつと壁に漆喰を塗り、気前のいい古道具屋さんに集めてもらった端材をパズルのように組み合わせてテーブルをつくった。全く面白味のない窓枠にも、ネジさんの手で錆びた美しい廃材が添えられた。

ねじまき時計の針は、違う時刻を指している?

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