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衆院選後、インフレ期待で住宅価格は上昇する(2ページ目)

今回の衆院選では各党がデフレ脱却を公約に掲げています。自民党も民主党も経済成長率を数値目標化しており、インフレ期待を高めようとしています。その結果、海外マネーが日本の不動産市場に流入し、不動産価格を押し上げるでしょう。かつての「ミニバブル」と同じメカニズムで、選挙後、都心の住宅価格は上昇すると分析・予想しています。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


「政権交代」ではなく「政権後退」 住宅市場の実情に即していない民主党マニフェスト 

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「政権交代」ではなく「政権後退」した民主党。住宅政策は力不足の印象

まずは自民党の公約ですが、該当部分をピックアップすると以下のようになります。驚いたことに、住宅に関係する具体的な表現はわずか2項目しかなく、住宅分野が重点政策として考えられていないことが分かります。

【自民党 政策パンフレット】
  • 「国土強靭化基本法」の制定による事前防災の制度化を実現する。
  • 「首都直下型地震対策特別措置法」、「南海トラフ巨大地震対策特別措置法」を制定し、基本法に沿った徹底した事前防災・減災対策を推進する。
国土強靭化基本法案の基本理念

 

続いて、民主党のマニフェストには住宅に関連する政策として以下のような記述があります。「地震」「エネルギー」という2大テーマが主軸に据えられており、東日本大震災の轍(てつ)を踏まないよう、その教訓を活かした政策が目に付きます。

【民主党 政権政策マニフェスト】
  • 東海・東南海・南海地震や首都直下地震を具体的に想定した避難路や避難場所の緊急整備、首都機能のバックアップ体制を整備する。南海トラフ巨大地震対策に対処するための特別法の制定を図る。
  • 2015年度に耐震住宅の割合を9割に引き上げることを目標に、法改正を行い、一般の住宅の耐震化に対する支援を拡充する。
  • 住宅、家庭、交通網などにおける節電を促進する。スマートメーターの普及に取り組み、スマートコミュニティを実現する。
  • 住宅の省エネ化をすすめるため、新築住宅の省エネ化・省エネリフォームの推進、木材住宅の普及などを図る。
  • (消費税増税に関し)住宅の取得については税額が高額であることに加え、一時の税負担が大きいことから、2014年4月、2015年10月のそれぞれの引き上げ時に影響を緩和・平準化する十分な対策を実施する。
3年前のマニフェスト(前ページ参照)と比べると、具体性に乏しい印象をぬぐい去れません。個人的には、高経年化した分譲マンションの支援策(役員のなり手不足や積立金不足)や、担保割れして買い替えたくても買い替えられない人を救済するための住宅金融政策など、もう少し実情に即した具体策の提示があったらよかったと思っています。無論、地震対策は必要ですが、それだけでは有権者の支持は得られません。われわれ国民が何を望んでいるのか、その声を十分に反映させた政治の実現が待ち望まれます。

もし、デフレ脱却が実現すれば、今後、「インフレ期待」で住宅価格は上昇する 

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衆院選挙後、インフレ期待の高まりを受けて、住宅価格は上昇する。

以上を踏まえ、衆院選挙後の住宅市場はどうなるのか?――

私ガイドは住宅価格にインフレ圧力が働く可能性を予想しています。というのも、自民党の安倍総裁は11月29日に都内で講演し、日本経済のデフレ脱却に向けて「日銀と政策協調し、2%のインフレターゲットを設定する」と改めて強調しています。すでに、一連の安倍発言にマーケットは敏感に反応しており、株式市場・為替市場とも「株高」「円安」へと動いています。

もし、本当にデフレ脱却に成功し、インフレ方向へと景気が上向けば、同時に住宅価格も上昇すると私ガイドは考えています。インフレ期待の高まりを受け、海外投資家が日本へ熱い視線を送ってくるからです。行く先のない潤沢な海外マネーが日本の不動産市場へと流入し、地価を押し上げます。2006年後半~2007年にかけて東京都心部を中心に加熱した「ミニバブル」とよく似たメカニズムです。

デフレ脱却への道筋については、民主党も「2020年度までの平均で、名目成長率3%程度、実質成長率で2%程度の経済成長を目指します」「政府・日銀一体でデフレ対策を協力に推進し、過度の円高、為替相場の急激な変動に対しては断固たる措置を講じます」と明言しています。

第三極で注目される、日本維新の会も同様です。「名目成長率3%以上、物価上昇率2%」「日銀法を改正し、政府と日銀の役割分担を再構築する」としています。デフレ脱却に対する政策スタンスに大差はありません。どの党が衆院選に勝利しようと、日銀との二人三脚によるデフレ脱却策が講じられることは間違いありません。

その意味において、住宅価格の上昇シナリオはその確度を高めます。今回の衆院選が1つのターニングポイントになることは疑う余地もありません。

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