40℃のお風呂に15分がベスト
夕食後から寝るまでの3時間は、質の良い睡眠に入るための準備をする、とても大切な時間です。その時にする入浴も、自律神経のバランスを整えるには欠かせないものです。ただし、ここでよく意識することは、眠る前の入浴は、体を清潔に保つということが一番の目的ではないということです。その最大の目的は、一日の終わりに滞った血流をリカバーするということなのです。入浴は自律神経バランスを整える上でとても重要
そして、心と体を究極にリカバーするには、お湯の温度は39~40℃。入浴時間は15分。最初の5分は首まで浸かり、残り10分はみぞおちぐらいまでの半身浴。これがおすすめです。この入浴法だと、血流がよくなり、それでいて直腸温度を上げすぎず、体の深部体温を、38.5~39℃という適温に保ってくれます。また、お風呂から上がった後は、必ずコップ一杯の水を飲みましょう。もちろん、もしも喉が渇いたら、水を飲みながらお風呂に浸かっても構いません。
この入浴法をすると、脱水症状にもならず、お風呂から上がった後も、いつまでもほどよいポカポカ感が続きます。そして自律神経も整い、スッと安眠できます。ですから、40℃のお風呂に15分、これこそが、一日の終わりに皆さんの血流をリカバーし、細胞レベル、血管レベルからきれいにしてくれる、究極の入浴法というわけなのです。
逆に、熱すぎるお風呂には、十分注意しなければなりません。一般的に適温であるといわれている42~43℃は、医学的な見地からすれば、実はかなり熱すぎます。そして、熱すぎるお風呂がなぜダメなのかといえば、交感神経が急激に上がり、血管が収縮してドロドロになるからです。さらに、直腸温度も急激に上がり、自律神経バランスが乱れるので、実はとても危険です。よくお風呂で倒れるというのは、熱すぎるお風呂に急に入ったため、血管が急に収縮したことが原因になっている場合が多いのです。
シャワーの浴び方
お風呂に浸かるのがいいとはいうものの、忙しいときは、どうしてもシャワーだけで済ませたい、あるいは、朝、髪や体をきれいに整えるために、やっぱりちょっとだけシャワーを浴びたい、そんな方も多いと思います。また、シャワーにも、入浴とはまた別なリフレッシュ効果があることも確かなのです。自律神経的にいえば、シャワーの一番の効果は、お湯の刺激を肌に与えることで、交感神経が活性化されるということ。また、「朝のシャワーはコーヒーを飲むよりも目覚め効果が高い」という調査結果も出ています。ですから、何か気分を変えてみたいとき、鬱々と落ち込んだ気持ちをスッキリさせたいとき、シャワーを浴びるのは、案外効果的なのです。
シャワーには交感神経を刺激する効果がある
自律神経によいシャワーの浴び方には、ちょっとしたコツがあります。それは、いきなり熱いシャワーを浴びるのではなく、ぬるめのシャワーである程度、体を慣らした後に、適温の熱さのシャワーを浴びることです。そうすることで、自律神経もスムーズに整いますし、また、シャワーを浴びた後に、体が急激に冷えることも防げるからです。
シャワーを浴びるなら、「最初はぬるめに、徐々に熱く。そして、浴びた後は、体を冷やさないように、十分注意する」。これが自律神経バランスを整えるシャワーの浴び方のコツです。
温泉では脱水に注意
実は、お風呂は長く入ればいいというものではありません。また、回数も多ければいいというものではありません。時間でいえば、15分以上の入浴はあまりよくありません。お風呂では、気づかないうちに、汗をかいているため、あまり長く入りすぎると、脱水症状になってしまうからです。そして、脱水症状ほど体の中の血をドロドロにするものはありません。ですから、よくお風呂やサウナで、心筋梗塞や脳梗塞を起こす人がいるのは、熱いお風呂に入りすぎて、脱水症状になってしまったことが原因である場合が多いのです。また、お風呂に何回も入るということも、血圧の変化が大きくなり、あまり好ましいとはいえません。ですから、ダイエットのために、長く何回もお風呂に入るというのは、実はマイナスなことの方が大きいのです。
とはいえせっかく温泉に行ったのなら、やっぱりお湯にゆっくり浸かっていたいし、できれば何回も楽しみたいものです。そんな時は、脱水に十分注意をして、「熱すぎるな」と思ったら、まずはゆっくり足浴や半身浴をして、体を十分に慣らしてから、温泉のお湯を全身で味わうことをお勧めします。そして、必ずこまめに水を補給すること。そうすれば、よくいわれる「温泉での湯あたり」も、防ぐことができます。
温泉に行ってのんびり過ごすこと自体は、副交感神経を高め、心身をリフレッシュしてくれるので、自律神経のバランスを整えるためにも効果があると思います。ですから、温泉好きの方は特に、温泉の上手な入り方を意識して、楽しんでください。