三室院長はオールアバウトの不妊症記事でもお世話になった多摩地区屈指の不妊専門クリニックの院長です。
三室先生です!
三室先生は診療の中で不妊治療をされている患者さんのペットを飼っている率が高いこと、そして、ペットとの関係に困っている方や赤ちゃんが出来た時にどうすればいいかに悩んでいる人が多いことに気づきました。
そこで、医師の立場からとドッグトレーナーの立場から話すことにより、ペットを理解し、ペットとの関係を良くすることが、ひいては良い生活と治療効果をもたらすのではと考え、日本で初めてのセミナーが開催されました。
三室先生からはペットと不妊治療について、患者さんのアンケートによるお話をされ、そして、ドッグトレーナーの木崎直之氏からは、ペット(特に犬)の特性や問題の事例、赤ちゃんとペットの付き合い方など詳しい説明がありました。
今回はその中でも木崎直之氏のお話のエッセンスをレポートしたいと思います。
木崎直之氏プロフィール
ペットとはなんぞや?
ペットは人間が作り上げてきた動物で、決して自然界が作り上げてきたものではないことをご理解ください。よって、ペットは社会性が高い動物なのです。ペットの容姿や特性には理由があります。例えば、ハスキー犬の目の色でブルーや褐色、ハシバミ色が多いのは紫外線から目を守るためであり、ダックスフントの足が短いのは穴熊を捕まえるためであるということです。プードルは水辺の猟犬だし、テリアも猟犬なので小動物やボールに敏感に反応する特性を持っています。
ドッグトレーナーの木崎先生です!
犬ごとのそういう特性を知ることは飼っている限り、きちんと理解しておくことが大事です。
●動物を飼育するにあたり飼い主さんが守らなければならないルール
1 飼い主さん自身が動物との生活を楽しんでいること。
2 その動物が幸せであること。
3 動物を飼うことで、周囲の人に迷惑を掛けないこと。
そしてこのルールを守るためにしなければならないことは下記の通りです。
1 自分にあった種類の動物を選ぶこと。
2 動物のニーズを満たしてあげること。
3 動物の習性に応じて、人間と暮らしていく上で必要なしつけをすること。
赤ちゃんもペットも同じ尊い「命」です。しかし、ペットは人間ではありません。「人の身勝手な擬人化が問題行動を起こす」のです。ペットのことをペットとしてみてあげてください。犬や猫の気持ちをシンプルに考えてみることが問題をなくします。
赤ちゃんとの関係
不慣れな赤ちゃんにほとんどの動物が興味を示します。動きに対して反応したり(近くまで行く、甘咬みする等)や赤ちゃんの泣き声に対し反応(吠える、捕食性、恐怖心からの攻撃行動を示す)します。赤ちゃんといい関係になってほしいですね。
そういう中でトラブルが起きてしまいます。じゃあ、どうすれば良いのでしょうか?
赤ちゃんとペットを仲良くさせる方法としては、下記のことを行う必要があります。
<産まれる前にしておくこと>
1 赤ちゃん誕生に備え、スケジュールの変化に慣らすこと
2 練習として、赤ちゃんの泣き声が収録されたCD等を聞かせ慣らすこと(食事時、遊んであげているとき等、楽しい時間帯で行う)
3 犬の体に触る練習をすること
4 犬に落ち着かせるトレーニングを行うこと(マットステイ、クレートトレーニング)
<産まれてから家に来る前にしておくこと>
事前に赤ちゃんが着用した洋服、ガーゼ等をペットに嗅がせ、存在を知らせます。第一印象が非常に重要なので楽しい時にそういう事をさせると良いかと思います。
<赤ちゃんと接触させる方法>
1 外で接触させるようにします。赤ちゃんは他の方に抱いてもらいます。(自宅はなわばり意識を強く持っているので)
2 犬の反応を見て、良ければ一緒に室内に入ります。
3 赤ちゃんの近くでフードを与えてみます。
4 反応が低ければ、目の前でフードを手から与えたり、気を逸らせてください。
それから、人畜共通感染症にかかるケースもありますので、免疫力の弱い赤ちゃんとの関係性で重要なのは衛生面での問題です。
感染症の正しい知識と判断や外部・内部寄生虫の駆除、排泄後の処理等の徹底、動物の抜け毛、フケ等の掃除(普段の掃除機、グルーミング等)はきちんと理解し、実施できることが大事です。
これらの知識や実施が難しいと思われるようであれば、ペットを飼うことがお互いにマイナスになってしまうことになります。