中古マンションも並行検討が45%
新築VS中古 どっちが得?
マンション選びにおいて、新築マンションにするか中古マンションを選ぶか迷う人が最近は増えています。リクルート発表の2011年首都圏新築マンション契約動向調査(2012年3月発表)によれば、2011年の新築マンション契約者のうち中古マンションとの並行検討者は45%。2006年頃まで30%台前半だった数値がここ数年大きく上昇しています。リーマンショック以降、新築マンションの供給戸数が減ったことも要因として考えられますが、マンションの大量供給で良質なマンションストックが増えたことや、専有部分のインフィル部分を一新するリノベーションやリフォームなどの普及が進み、新築と中古の境界が縮小したことも影響していると思われます。欧米諸国と比べ、日本は中古物件の流通量が極めて少ない状況ですが、ストック型の社会の到来で今後中古マンションの流通量は増えることが予想されます。では実際、新築マンションと中古マンション、どちらがお買い得なのか。新築マンションと中古マンションとの違いを整理して考えてみましょう。
中古マンションの魅力は価格の安さ
新築価格の6割前後が成約価格
中古マンションの魅力としてまず挙げられるのが価格の安さです。東日本不動産流通機構発表の2012年4月度の首都圏中古マンションの成約データによれば、成約平均価格は2,525万円、成約平均平米単価は38.41万円です(築年数は平均18.97年)。一方、不動産経済研究所発表の首都圏マンション市場動向2012年4月度によれば、1戸あたりの平均価格は4,414万円、平米単価は62.0万円です。価格ベースでみると中古は、新築の約57%、平米単価ベースでは約62%となります。住宅ローンを借りた際の総返済額は、借入額によって大きく変わりますので、価格が安いことは買い手にとっての大きな魅力だと思います。では、中古マンションの価格は本当に割安なのでしょうか。考えてみたいと思います。
中古マンションといっても様々です。今の建築基準や技術水準をベースにつくられた新築マンションと異なり、建物の建てられた年代で仕様も異なります。建築基準法の大幅な改正があった昭和56年6月1日以前に建築確認を取得したマンションは建物の最低基準がそれ以降と異なります。また、現在では多くのマンションが採用している二重床にしても20年前は採用物件もごくわずかです。今回は、躯体性能が新築マンションと比較的近い築15年以内のマンションで考えてみましょう。年代で大きく異なる性能
新築志向だけでない中古が下がる理由
新築マンションと中古マンションの並行検討者で多いのが築5年未満の比較的築年数の浅いマンションを探す方です。新築マンションの供給が回復しつつある今なら多くの地域でこの年代のマンションの売り情報が目に留まります。しかし、築年数の浅いマンションの売り出し価格を見ると意外と安くないことに気づきます。マンションの耐用年数を考えると十分長期で利用可能ですし、設備劣化の程度も小さいでしょう。人気がある分価格もある程度の水準で設定されます。人気エリアの大規模マンションでは、築5年でも分譲当時の価格を維持しているものも見受けます。クロスの劣化やフローリングの傷などは5年も使っていればあります(うちのフローリングは傷だらけです)。子供がいれば傷みは大きいでしょう。賃貸マンションにおいて入居者が変わるたびにハウスクリーニングやクロスの張替えをするのは、清潔さをより重視する日本人の国民性だと思いますが、70平米クラスのマンションのクロスを全室張替えすると60万~70万円程度はかかります。新築マンションだと内覧会で不良箇所は対応してもらえます。現況で売買されるケースの多い中古マンション購入のデメリットともいえるでしょう。
では、築10年から15年程度のマンションならどうでしょうか。この年数で留意したいのが設備の経年劣化です。食器洗い乾燥機や給湯器などの故障も十分考えられます。フローリング部分も含めマンションのインフィル部分のリフォームを全て行なうとなると70平米で700万円から800万円程度はかかります。傷みの程度次第で思わぬ出費があることは、想定しておくべきでしょう。
そもそも中古物件の売却は、仲介会社の査定を基に売り出し価格を決めて行なわれます。よほど売り急ぐ理由がなければ、査定価格以上からまずスタートしますので、売却開始時にその時点での適正価格であることはあっても、割安なケースは少ないです。
では、新築マンションはどうなのか。ガイドがお買い得と思う理由を次ページで紹介します。