社会保険/社会保険の基礎知識

離職理由で大きく変わる失業給付の基礎知識

激動の社会経済情勢下。従業員も、正社員だけでなくパート、アルバイト、派遣従業員など多様化の時代。退職理由もこれまた多様化しています。一般的な自己都合退職であっても、正当な理由があれば、給付日数が増える優遇措置が講じられることがあるのをご存じでしょうか。本記事では退職理由によって変動する失業給付の勘所をお伝えします。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド

よく知られている雇用保険の失業給付

■原則的な「基本手当」
失業給付は、離職理由で大きく変わります

失業給付は、離職理由で大きく変わります

企業が適用を受けている雇用保険。様々な給付メニューがありますが、一般的によく知られているのは失業時に受給できる給付金ですね。正式には「基本手当」と言います。雇用保険に加入している従業員が、自己都合、定年、倒産、契約期間の満了等様々な理由によって退職(離職)した場合、再就職が決まるまでの生活保障のために支給されるものです。

同じ企業に65歳以後も継続して働いている者・季節的に働いている者・日々雇用されている者など以外の、一般的な従業員の失業給付の給付日数は、離職日の年齢、被保険者であった期間及び離職の理由などによって大きく変わります。

■受給できる日数
90日~360日とかなり幅があります。

離職理由の違いで大きく変わる給付内容

会社を離職する理由は、前記のとおり様々な理由がありますね。実は離職理由によっては、一般的な給付日数よりも手厚い保護(給付日数の増加)を受けられることがあります。今の社会経済情勢下における企業の労務管理上、この離職理由についての実務知識は欠かすことはできません。失業給付は離職者の再就職までの収入に直結する内容なので、トラブル回避のため、実務担当者が確実に理解をしておくべき内容と言えるのです。次の1・2の離職理由の場合、手厚い保護が受けられます。

1. 特定受給資格者

特に倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた者

2. 特定理由離職者

上記の特定受給資格者以外の者で、
・有期の労働契約が更新されなかったことにより離職した者
・その他やむを得ない理由により離職した者

基本手当の所定給付日数

1.一般的な離職者(定年退職や自己都合退職者)
一般的な離職者は、上記の日数になります

一般的な離職者は、上記の日数になります


2.特定受給資格者・特定理由離職者
年齢区分、被保険者であった期間で90日~330日まで幅があります

年齢区分、被保険者であった期間で90日~330日まで幅があります


特定受給資格者・特定理由離職者の給付日数が上記1.の一般的離職者より増加していることが分かりますね。

■留意点
「特定理由離職者」については、離職の日が平成21年3月31日から平成24年3月31日までの間にある場合限って上記の表になります。まもなく期限が来ますがこの期間はさらに延長の可能性があります。詳細は行政からまもなく発表される予定です。また、「特定理由離職者の範囲」の2.に該当する場合は、被保険者期間が12か月以上(離職前2年間)ない場合に限って、上記の表になります。

3.障害者等の就職困難者
障害者等の就職困難者は、360日まで給付されるケースもあります

障害者等の就職困難者は、360日まで給付されるケースもあります


次のページでは、特定受給資格者・特定理由離職者の範囲について解説しています。
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