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銀座ヨシノヤ 九分仕立て紳士靴アトリエ訪問記(3ページ目)

世間がオーダーだハンドソーン・ウェルテッドだと騒ぐ前から、我が国でその技術継承に大きな役割と貢献を果たしてきた、銀座ヨシノヤの紳士靴。その製造を長年に渡り託されているアトリエに、先日お邪魔することが出来ました。普段は見ることの難しい真剣な作業風景の一端を、写真でご紹介します。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

価格を遥かに超えている、謙虚な手仕事!

メダリオン作製

大きいものも小さいものも、地道に一つ一つ……

アッパーのつま先にメダリオンの穴を開けている光景です。型に入れて全ての穴を一発で貫通させるのが当たり前の中にあって、この工房ではたとえ既製品であってもポンチで一つずつ開けてゆきます。集中力と根気の双方が求められる作業ですが、完成時の美しさ故に妥協はできません。
クロージング

繊細かつ高速、そして圧倒的に正確!

ライニングの縫い付け(クロージング)を行っている最中です。縫いそのものにも前処理にも緻密さを要求される筈なのに、正確なのは当然ながら、嘘みたいに速い速い…… 因みにこのライニングの革も、入手できる最高クラスのものを用いています。
出し縫い機

確かに「機械」ですが、 高度な技能と経験がないと扱えません

この工房のハンドソーン・ウェルテッド九分仕立ての底付けで唯一用いる大型機械がこれ、出し縫い機です。とは言え年代ものなので取り扱い方は事実上、手作業そのもの。頑丈かつ美しく縫い上げるには熟練の技が求められます。

いかがでしたでしょうか。今回は敢えて他の媒体ではあまり紹介されない工程ばかりを写真に収めましたが、いずれにしても銀座ヨシノヤの九分仕立て紳士靴は、既製品もパターンオーダーも製造工程はフルオーダーと全く同じで、事実上手仕事のみ! その緻密さとものづくりに対する真摯な姿勢を目にしてしまうと、販売価格は申し訳ない位リーズナブルに改めて感じます。

「日本の誇るべき謙虚で丁寧な手仕事」が様々な産業から一つ、また一つと消滅して行く昨今、現在このアトリエでは、社長をはじめ4人のベテラン職人さんと3人の若手職人さんが一丸となって、これまで培ってきた技能をしっかり継承すべく奮闘している状態です。靴であれ何であれ、ブランドの露出度や広告それに短絡的な発想に囚われず、ユーザーが本当に優れた品質のものを考え抜いて選択し続けることが、結果的にはその商品全体の品質の向上に繋がり、ひいては社会全体を豊かにすることに繋がる筈。そんな環境づくりに微力な小生でも尽力しなくてはと肝に銘じた、暑い真夏の午後でした。

で、この秋のパターンオーダーフェアの詳細については、次回の記事まで暫しお待ちあれ!


【銀座ヨシノヤ 紳士靴ハンドソーンパターンオーダー受注会】
会期:2011年9月17日(土)~10月16日(日)
場所:銀座ヨシノヤ 銀座四丁目店
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座4-5-4
地図: Yahoo!地図情報
TEL:03-3562-3871
営:11:00~19:00
休:無休
HP:銀座ヨシノヤ

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