ステーショナリー・文房具/ボールペンブランドの歴史とフラッグシップモデル

エス・テー・デュポンの歴史とボールペン

エス・テー・デュポンの歴史と、代表的なボールペンを紹介します。

土橋 正

執筆者:土橋 正

ステーショナリーガイド

エレガンスを具現化するメーカー

創始社のシモン・ティソ・デュポン

創始社のシモン・ティソ・デュポン

僅か25歳の青年が高級レザーグッズの工房を開いたのは1872年のこと。スケッチを基に折り畳み式の札入れやデスクパッドを制作していたところ、その出来栄えの良さから瞬く間に愛好者が広がっていった。20世紀初頭には、高級レザーを使用した旅行バッグのメーカーとして一世を風靡し、世界中を飛び回る富裕層を中心にさらなる支持を集めた。

シャムの女王はブラック・クロコダイル・レザーで作ったトラベルケースを愛用。さらに、お洒落通で知られるウィンザー公爵とその夫人、エジプトのファルーク王と王妃、イラン皇后、デンマーク王妃、そしてロスチャイルド家やパティアラのマハラジャなどもオーダー品を注文したという記録が残っている。そうした特注品は、品質に加えて芸術性も問われるもの。そんな機会を重ねるうちにエス・テー・デュポンの技術も磨かれ、いっそうの発展を遂げることとなる。

1930年代には発祥地であるフランス・サヴォワの近郊、ファヴェルジュに工房を構え、金銀細工師、クリスタル職人、金メッキ師、革職人、漆職人を一箇所に集めて作業を行うようになった。その結果、純正漆をを金属に塗るという独自の手法が誕生。その詳細は現在でも門外不出となっている。そうした技術革新を怠らない土壌があってこそ、1940年代に発売したライターや、1970年代に発表した筆記具などのヒットアイテムも生まれたと言えそうだ。

次のページでは、代表的なボールペンを2種紹介する。
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