風力発電の現状
再生エネルギーのひとつとして期待される風力発電
一方、日本は風力発電の開発・設置があまり進まず、2011年現在で風力発電設置容量の合計は2GW程度。世界全体の1%です。2020年には世界の合計が470GWにも成長するといわれる風力発電。原発にもう頼れない以上、このまま放っておくわけにはいきません。
技術大国の日本で、風力発電の開発が進まないのはなぜでしょうか?
風力発電のメリット
大きなメリットとして、火力発電のような二酸化炭素の排出、原子力のような放射性物質の危険性がない、クリーンな発電方法であることが挙げられます。発電に使うための燃料を輸入したりする必要もありません。コストがあまりかからず比較的簡単に設置できたり、あるいは家庭で使える小規模の風力発電設備も製造可能である点があります。
風力発電のデメリット
一方、日本で風力発電が進まない理由と密接に関連しているのが、そのデメリットです。■不安定な供給
最大の問題は、発電が不安定である点にあります。風は地球上に無限に吹いていますが、同時に吹く時期は非常に不安定です。全く無風の日もあれば、台風のような暴風が吹く日もあるのが天気。風力発電は風が吹かないと発電できないので、風がない日が続くと電気が供給できなくなってしまいます。
供給を安定させるための方法として、いろいろな場所に複数の風力発電設備を設置して、ある場所で風がなくても他の場所でカバーする。あるいは、風力が足りない時は火力など他の発電方法で補うことなどが考えられます。
供給する電気の電圧などが不安定になる問題もあります。他国は日本のように電圧が安定しているとは限らず、アメリカは100~120V程度の幅のある電圧で電気が供給されます。それに対して日本は、常に100Vで供給され、消費者もそれも求めるのが現状。現在の風力発電は、電圧も安定した電気を常に供給するのが難しいという問題があります。
■設置には平地が必要
設置場所の問題もあります。風力発電所を設置するには、平らな場所が必要になります。日本は山間部が多く、風力発電設備を大量に設置するのに向いていません。そもそも土地そのものも少ない国です。中国やアメリカで風力発電が盛んなのは、広大な国土に恵まれているためでしょう。
■台風で設備が壊れる可能性も
さらに台風が問題となります。風で電気を起こすのが風力発電なので、強い風は問題ないと思うかもしれません。それが違うのです。風力発電機には適切な風量があり、あまりにも強すぎる風は設備を損傷してしまいます。台風のような強風が来ると、発電ではなく設備に損害を与えてしまう結果につながります。風力発電を日本で行うためには、台風対策を考えなくてはなりません。
それ以外にも、周囲への騒音問題、落雷に弱いなどの問題があります。2009年7月には、青森の風力発電所で実際に落雷による被害も出ています。