長年の低成長……悪化するポルトガル財政
EUの西端にあるポルトガルでも、財政問題が浮上している。
「ギリシャ危機再燃か くすぶるEUの財政問題」で書かれているように、アイルランドの場合は、住宅バブルの崩壊が大きな原因となっていました。しかし、ポルトガルの場合、同じような住宅バブルの崩壊は近年起こっていません。
ポルトガルの財政赤字拡大の原因は、21世紀に入ってから続く低成長が原因と見られています。世界的に景気がいいと言われていた2004~07年の間でも、2005年はEU全体の実質経済成長率が2%程度なのに対し、ポルトガルは1%以下の0.76%。2006年はEU全体が3%以上なのに対し、ポルトガルは1.44%でした。景気が低迷して税収が伸びないにも関わらず、公務員給与などの歳出はカットされずに長年きたため、財政赤字だけが拡大していくという結果になっています。
ポルトガルの財政赤字は、2009年にGDP比で9.4%というところまで拡大しています。ポルトガルの2009年GDPは名目ベースで2,329億ドル(約19兆3000億円)なので、その9.4%は219億ドル(約1兆8200億円)になります。
ポルトガルはこれを2013年までに2.8%に減らすと宣言していますが、2010年の国債発行額は2009年と比べてもそれほど大きく減っていないので、前途は多難でしょう。