それではインタビューの模様をお伝えしてまいります。
Q)不妊専門医になったきっかけを教えて下さい。
私の出身大学は東邦大学医学部です。1983年に医師になったのですが、同年、日本で初めての体外受精が成功しました。その当時、大学院にいたのですが、久保春海先生(現名誉教授)に声をかけられたのがきっかけです。安部院長。優しい笑顔が印象的です
そんなきっかけで不妊専門医となったのですが、しばらくは大学病院で治療を行っておりました。しかし、大学病院ではなかなか自分の思うような小回りの効いた治療を行う事は難しい状況でした。そこで自分のクリニックを作ることにしたのです。
Q)CMポートクリニックの治療方針を教えて下さい
受付
私が大事にしているのは私を信頼して来てくれる患者さんに私の目の行き届く治療をするということです。だから、患者さんはすべて私が担当します。
気持ちとしては不妊治療から出産まですべてをみたいというのが本音です。しかし、不妊治療をされている患者さんにとっては妊婦さんを見るのはつらいので、得意な不妊治療の部分を担当しているということです。
治療ステップとしてはタイミング療法からAIH(人工授精)、そして体外受精と進むステップアップ療法が軸になっています。
体外受精では各々にあった治療を提案していくオーダーメイド治療になっています。周期によって人間のカラダは大きく変化しています。その状況をしっかりとチェックしながら治療を進めていく事になります。
Q)患者さんの年齢層はどれくらいですか?
当院は平均39~40歳ぐらいだと思います。40歳以上の患者さんの比率が高いということだと思われます。Q)精神的サポートについて教えて下さい
待合室
特に受付とナースは患者さんと接する頻度が高いのでその態度や言動に注意しています。また、投書コーナー(掲示板)も作っており、情報交換を行っている状況です。
カウンセリングは基本的にご夫婦で受けて頂いておりますし、セカンドオピニオン外来も行っております。
Q)WEBサイトを拝見すると治療費が良心的な設定になっております。何か理由があるのでしょうか?
はい、当院の理念であるフレンドリーARTの一環です。経済的負担も出来るだけ少なく、そして妊娠して頂くことが私の基本的な考え方です。しかし、治療費を安くすると「安かろう悪かろう」と思う方がおられるのでちょっと不本意な感じですね(笑)。
Q)先生は開業前、長年にわたり、東邦大学の不妊センターの中核を担い、海外での留学経験も豊富とお聞きしています。不妊治療のエキスパートとして治療上のこだわりを教えて下さい。
院長は様々な国で技術指導されています
そのような場合、可能性のあるものはレスキューICSIを行います。
患者さんにとっては卵子1つ1つがわが子と同然なのです。それをどのように妊娠に結び付けていくのか、可能性を最大限に上げるのか、私の役割であり、永遠の課題だということですね。
Q)患者さんが生活上で気をつけることがあれば教えて下さい。
できるだけストレスフリーな状態でいて欲しいということ、そして治療にのめりこまないでということですね。余計な知識を知りすぎているというのもストレスに結び付きます。特に不妊治療の場合は複合的な要因が多いので単純な理由が少ないのです。その原因を追い求め出すと分からない事に不満が募ります。
とにかく私ども、プロに任せて、後はあまり深く考えすぎないということをお勧めします。目が三角になっていると妊娠しづらくなりますので。
Q)読者に対し、最後に一言頂けますか?
こういう絵はホッとしますね。
インターネット情報ではその患者さんの背景や状況がわからないので無責任な情報となっています。皆さんを一番よく知っているのは主治医です。ぜひ、その部分に着目して頂きたいということですね。
それから、ご自分の年齢と妊娠率の問題に無頓着な方が多いので、その点にはぜひ注意して欲しいと思います。やはり人は35歳を超えると年々妊娠率が減りますし、40歳を越えると妊娠の確率が極端に低くなります。
「いつでも妊娠できると思っていた」という変な自信を持っておられる方が受診されることが多いので、正確な情報を知って頂きたいと思います。
取材を終えて
診察表です。全曜日休みなしです
「体外受精に到達する前の段階の治療でどれだけ妊娠させるのかが不妊専門医の腕の見せ所だ!」と言われている姿に先生のこだわりを見たような気がします。
また、クリニックを休みなく運営されております。「患者さんのチャンスを一周期たりとも無駄にしたくない」という言葉には感銘を受けました。
長時間のインタビューに応じて頂いた院長先生にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。