2015年8月、イナビルに乳糖が含まれているため、牛乳アレルギーのある患者には慎重投与になりました。該当する方は受診の際に医師にお伝えください。

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2010年10月19日、「イナビル」というインフルエンザ治療薬が発売されました。これは、国内で初めて開発された薬剤として、国内の製薬会社である第一三共株式会社が製造販売も手掛けています。

これまで、インフルエンザ治療薬として、「タミフル」、「リレンザ」、「ラピアクタ」が発売されていますが、違いも含めてご紹介します。
(参考過去記事)インフルエンザ治療薬「タミフル」とは  インフルエンザについて

インフルエンザ治療薬の作用

h1n1

H1N1:新型インフルエンザウイルス。ウニのような突起で粘膜の細胞に入り込みます

「イナビル」は、「タミフル」「リレンザ」「ラピアクタ」と同じ、ノイラミニダーゼ阻害薬の一つ。インフルエンザ治療に使われます。

まず、インフルエンザウイルスの増殖過程を簡単に説明しましょう。インフルエンザウイルスは、ウニのような突起をもった構造をしていて、のどの粘膜などの細胞に入り込み、感染します。

細胞に入り込んだインフルエンザウイルスは、自分と同じウイルスのコピーを、感染した細胞内にたくさん作っていきます(「複製」と言います)。その後、感染した細胞から複製されたウイルスが放出されて行きます。放出されたウイルスはさらに別の細胞に入り込んで感染します。そして、その細胞内で増殖し……というプロセスでインフルエンザウイルスに感染し、身体がウイルスと戦うための反応として高熱などの症状がでます。

「ノイラミニダーゼ」とは、インフルエンザウイルスの突起にある物質のこと。感染した細胞からウイルスが外に出るときに、感染細胞の膜を破る働きをします。

多くのインフルエンザ治療薬は、このノイラミニダーゼの働きを阻害し、インフルエンザウイルスが細胞の外に出ていかないよう、次々と他の細胞に感染してウイルスが増殖しないように作用するのです。

そのため、ウイルスが増殖する前である、症状が出てから48~72時間以内に投与する必要があります。

タミフル・リレンザ・イナビル……それぞれの薬剤の違い

2010年10月現在、インフルエンザ治療薬は、4種類になりました(A型に効果のあるアマンタジンを除く)。

タミフル
成人はカプセル、小児は粉薬(体重により量が変わります)。1日2回、5日間内服する飲み薬です。成人の5日分の薬価(薬剤のみの費用)は3,179円。

リレンザ
成人、小児ともに、1日2回 10mg(5mgを2回)、5日間吸入して使う薬。呼吸器に入って効果を示す薬で、吸入薬が使える年齢である5歳以上が適応になります。口の中に残ったものは、消化液で分解されてしまうので効果はありません。5日分の薬価は3,470円。

■ラピアクタ
成人は、1回300mg(小児は体重で変わります)を、医療機関でインフルエンザと診断を受けた際に、約15分間かけて点滴していきます。1回だけの点滴による投与なので、飲み忘れを防ぐことができます。点滴用パック1回分の薬価は、3,338円(薬だけの代金です。診察費や処置料などは別途かかります。)

■イナビル
成人及び10歳以上の小児は40mg(20mgを2本)、10歳未満の小児は20mg(20mgを1本)を1回、吸入して使います。最初の1回だけ吸入すればいいので、こちらも飲み忘れを防ぐことができます。薬価は、成人の40mgで、約4,280円。

イナビルの使い方

イナビルは、吸入して使う治療薬です。

まず、ボトルの下を軽くトントンと叩き、中の粉を拡散させます。そのあと、「1」と書いてある方を押し込んで、薬剤を充てんさせ、吸いこみます。吸い込む際に、底にある空気孔をふさがないようにしましょう。

次に「2」を押して、同様に吸い込みます。全ての薬剤を吸入するために、もう一度、「1」を押して吸入、「2」を押して吸入と繰り返します。成人と10歳以上の小児は、2ボトル分(計40mg)吸い込んでください。

口の中が気持ち悪かったら、水で飲みこんでもいいですが、このままでも大丈夫です。

上記のように、通常の投与量は、10歳未満は薬剤を1本(20mg)吸入(右と左で2吸入)、10歳以上は薬剤2本(40mg)を吸入(右と左で2本分の計4吸入)します。使うのは、処方されたその時1回だけの吸入となります。

インフルエンザの感染予防として使う場合には、成人及び10歳以上の小児ともに、薬剤1本(20mg)を1日1回、2日間吸入します(2日間で計2本吸入)。

イナビルの副作用・注意点

イナビルの副作用として、治験の段階で一番多く報告されているのは、抗生物質では時々見られる胃腸障害の下痢(4.7%)。

タミフルの際の注意と同様、小児(10代ぐらいも)の服用に関して異常行動が完全に否定されているわけではありませんので、投与後2日ぐらいは、保護者が注意して見守るようにしてください。


参考:
イナビル吸入方法(第一三共 患者向けサイト)
リレンザQ&A(GSK)    
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