見直してみよう、食習慣
食習慣を改善することが、健康への第一歩です。食事に大きく関係する生活習慣病といわれる高血圧、糖尿病、高脂血症を患っている人は、脳血管の動脈硬化がすすみ、結果として認知症の発症率が高くなります。栄養バランスのよい食事を心がけ、生活習慣病を予防していくことが、認知症の予防への近道だというわけです。
それでは、具体的な食事の内容を見ていきましょう。
■よい油はオメガ3系!
野菜を摂取するときは、調理法まで気を配りましょう。
よい油は、オメガ3系とよばれる油で、亜麻仁油、シソ油、そしてサバ・サンマ・イワシのような青魚に多く含まれるEPA・DHAです。
よい油は、動脈硬化を予防し認知症を防ぎますので、一日一匹の青魚を取るようにしましょう(*1)。
*1)Dietary patterns and risk of dementia: the Three-City cohort study.: Neurology. 2007 Nov 13;69(20):1921-30.
■身体のサビをとるビタミンCとビタミンE
ビタミンCとビタミンEは、抗酸化物質と呼ばれ、脳血管のサビを防いでくれます(*2)。これらは、野菜や果物に多く含まれているので、積極的に摂りましょう。
ビタミンCが多く含まれる食品・・・柿・オレンジ・キウイ・グレープフルーツ・苺など
ビタミンEが多く含まれる食品・・・モロヘイヤ・ニラ・カボチャ・ほうれん草・アーモンドなど
栄養成分を摂取するにあたり、考慮しなければならないのは調理による損失です。ですから、生で食べられる果物は、調理による損失を考えなくて良いので有効な摂取方法といえます。
ビタミンCは水に溶け、熱に弱いので、「ゆでる」「煮る」よりも、「炒める」ほうが損失が少なくてすみます。また、ゆで汁や煮汁を使用するスープはビタミンCが溶け出していますので有効な調理法です。
逆にビタミンEは油に溶けるので、炒めて食べる調理方法がお勧めです。
*2)Reduced risk of Alzheimer disease in users of antioxidant vitamin supplements: the Cache County Study.:Arch Neurol. 2004 Jan;61(1):82-8
■塩分の摂りすぎは血圧が上がる
高血圧は動脈硬化を進行させ、脳細胞のダメージを引き起こし、結果として認知症を進行させます(*3,4)。高血圧の原因は、塩分の取りすぎですから、あまり味が濃いような食事はさけましょう。
目安として一日7g以下が理想と言われていますが、まずは一日10g以下を目指しましょう。たとえば、ラーメンや味噌汁を食べてもスープを残したり、減塩しょうゆを使用したりすることは塩分摂取量を少なくすることができます。味覚はひとそれぞれですから、塩分測定器を用いて味噌汁やスープの塩分を測ることは有効です。
*3)Reducing the risk of dementia: efficacy of long-term treatment of hypertension.: Stroke. 2006 May;37(5):1165-70. Epub 2006 Apr 6.
*4)Effects of Age and Hypertension Status on Cognition:The Veterans Affairs Normative Aging Study:Neuropsychology In the public domain
2005, Vol. 19, No. 6, 770–777
■良く噛んで顎の運動を!
私たちの脳は、よく噛む事により記憶の中枢である海馬が活性化するのです。
ですから、やわらかいものばかりを食べるのではなく、少し歯ごたえのあるものを意識して摂るようにしてみましょう。歯が少なくなると、食べ物に偏りがでて、栄養バランスが崩れます。ですから、いつまでも歯を大事にすることが認知症予防には効果的です。