子育て支援制度/保育サービス

学童保育ってどんなところ?

親が働いている小学生を対象に、夕方までの居場所として開かれているのが「学童保育」です。学童保育には、さまざまなタイプがあります。

猪熊 弘子

執筆者:猪熊 弘子

子育てガイド

子ども

親が働いている小学生のための「学童保育」

親が働いている場合、就学前までは保育所があり、そこで親が働いている間の保育を受けることができますが、問題は小学校にあがってから。特に低学年の場合、小学校が午後3時くらいに終わってしまう日も多く、そうなると、それから夜までの間、子どもは1人で家で過ごさなければならなくなってしまいます。

そこで、親が働いている小学生を対象に、夕方までの居場所として開かれているのが「学童保育」です。

学童保育には、さまざまなタイプがあります。大まかにわけると、下のようになります。

  1. 「共同保育所」タイプ……もともと働く親たちが互いに協力しあって開設したもの。場所を探し出して借り、職員を捜して雇用し、運営費を親が負担し、運営に必要な事務もすべて親自身が分担して行う形式です。毎月2~3万円以上の経費がかかる場合が一般的です。親同士のつながりが強く、バザーなどさまざまなイベントを通じて互いに支え合う形で運営されていますが、働きながら、運営に関わっていくのは親にとっては負担が大きい場合もあります。また、運営費の補助が自治体から出ないと、運営を継続していくこと自体が大変です。
     
  2. 「児童館」タイプ……地域の児童館を利用して、学童保育を開設しているところ。公設公営のところや、公設民営のところなど、地域によってさまざまなスタイルがあります。公設民営の場合には、3年や5年というように年限を区切って運営者が変わる可能性がある指定管理者制度や、社会福祉法人や企業への運営委託している場合など、さまざまなスタイルでの運営があります。すべて、その児童館のある自治体の方針に基づいています。子どもたちは、学校が終わったら児童館まで行き、そこで保育を受けます。
     
  3. 「学校内施設」タイプ……学校の中に、別棟、あるいは空き教室を利用する形で学童保育が開設されているとことです。運営については、児童館タイプと同じく、公設公営の場合や公設民営の場合などさまざまです。子どもたちは学校が終わってからも同じ敷地内の施設に移動すればいいだけなので、移動途中の事故などのリスクは児童館タイプよりも低くなります。
     
  4. 「幼保内運営」タイプ……幼稚園や民間の保育所の中には、学童保育を開設し、小学校に入った卒園生を受け入れているところも増えて来ています。子どもたちにとっては、幼い頃から通った場所だけに、知っている先生も多く、安心できる場所。親にとっても通い慣れた幼稚園・保育所で学童時期まで過ごすことができれば、安心です。園長・所長の考え方次第で、このような施設が開設されているところが多いようです。
     
  5. 「地域運営」タイプ……商店街の空き店舗などを利用して、学童保育を運営している例です。地元の人たちが子どもと関わり合う機会が増え、子どもたちへの関心が増すことから、地域の防犯にも役立つ可能性が高いといったメリットもあります。今後、拡大することが期待されます。
     
  6. 「民間企業運営」タイプ……民間の企業が学童保育をサービスとして行っているものです。毎月3万円~5万円、中にはそれ以上の料金がかかることもありますが、学校や習い事への送り迎え、夕食の提供、深夜までの対応など、サービスメニューは豊富です。特に1人っ子の場合には安心、と利用する人が増えてきているようです。

全児童対象放課後事業とはどう違うの?

親が働いている、いないに関わらず、子どもたちにとっては放課後の居場所が少なくなってきているという現実があります。また、学童保育の施設の拡充が進まず、待機児童が増えていたり、定員が90名を超えるような大規模学童保育が存在していることもあり、ここ数年で増えてきたのが「全児童対象放課後事業」です。

川崎市の「わくわくプラザ」、名古屋市の「トワイライトスクール」など、名称はさまざまですが、全国でこの形が増えてきています。

川崎市の場合には、「わくわくプラザ」を開始するのと同時に、それまで共同保育所形式で運営されてきた民間の学童保育への助成金を打ち切り、子ども文化センター(児童館)で運営されてきた公設の学童保育を廃止しました。共同保育所形式での運営は続いていますが、補助金がないため、運営が厳しくなっています。

世田谷区の場合には、「BOP」(ボップ)と呼ばれていた全児童対象事業に、それまでの学童保育を合わせた「新BOP」が学校内で運営されています。

品川区の「すまいるスクール」以降、江戸川区の「すくすくスクール」など、教育委員会管轄の全児童対象事業を展開する自治体も増えて来ました。

全児童対象と学童の最も大きな違いは、学童要件の子どもをどのように扱うか、という点にあります。学童の子どもたちは親が働いていて不在のため、家に帰っておやつを食べることができません。具合が悪い日にも家で体を休ませることができません。そこで、そういった子どもたちへの特別な配慮が必要になるのですが、全児童対象では人数も多く、なかなかそこまで配慮が行き届かないこともあります。

おやつについては、学童要件の子が事前に申し込みをすれば、別の場所で食べられる場合もありますが、逆に学童以外の子どもたちにとっては、逆に「なぜ、自分にはおやつがないの? 学童の子はいいな」ということにもなりかねません。そういった小さなことがきっかけで「行きたくない」ということになると、親も困ってしまいます。

全児童対象の場合は特に、子どもの数も多く、保育所のようにきめ細やかに対応してもらえない場合もあるので、普段から子どもの話しをよく聞いて、どんな状態なのかを把握しておくことも必要でしょう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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