メンタルヘルス/対人恐怖症・社会不安障害(SAD)

「人の視線が苦手……」の克服法(2ページ目)

自分に自信がないと、対人状況で相手の態度や言動に敏感になりがちです。苦手意識が強く、日常生活に大きな支障が生じるようになると、社会不安障害の可能性もあります。詳しくご紹介しましょう。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

人の視線が心底苦手!
もしかして、「社会不安障害」?

人前で自然に振舞えるという事は、その場の空気に応じて、ふさわしい言動を取れるという事で、実は、なかなか高度な事だと思います。

それには、経験も重要ですが、なんといっても自分自身に自信を持つ事が大切。自信のある人でも時と場合によっては足がすくんでしまう程、緊張してしまう事があるでしょう。例えば、付き合っている相手の両親に始めてお会いした時、セリに出されて値踏みされる牛になった気がした人もいるのではないでしょうか? 緊張や不安が高まると、以下のような身体症状が出現してきます。
  • 頭痛
  • 動悸
  • 発汗
  • 呼吸が浅く、速くなる
  • 気が遠くなる
  • 胸苦しさ
  • 手足の震え
  • 顔面の紅潮
  • 便秘や下痢
精神医学的に問題となるのは、こうした不安症状が一時的ではなく、対人関係を伴う状況で持続して出現し、以下のような問題が生じている場合です。
  • 他人に対して劣等感を感じてしまう
  • 人と一緒に行う活動を避けてしまう
  • みんなの輪に入っていけない
  • 対人関係で相手が自分に向けた態度、言葉について考え過ぎてしまう
  • 人前に出ると自分だけ浮いている気がしてしまう
  • 孤独や不安感が強い
  • 将来の展望が見えない
これらは日常生活に大きな支障を起こしやすく、仕事を転々とする、ひきこもりなどの原因にもなります。心の病気の一つである社会不安性障害に相当しますが、日本では対人恐怖症という名がポピュラーではないでしょうか。実は、欧米では人前であがる、おどおどするといった事は自己主張を重んじる社会の為か、かつては軽視されていて、対人恐怖症は日本人独自の病気とさえ見なされていました。しかし、欧米社会でも社会的状況で生じる強い不安症状は決して稀ではなく、近年、社会不安障害として認知が進んで来ています。

>> 次に人前に出る事への苦手意識の克服と社会不安性障害の治療について述べます >>
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