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迷走するフセイン裁判(1)

元イラク大統領のサダム・フセインの裁判が、2005年の10月19日からイラクで行われています。しかしこの裁判は、かつてないドタバタ裁判となっているのでした。

執筆者:鳥羽 賢

フセインはどう裁かれる?

裁判所
イラク新政権はフセインを裁く
元イラク大統領サダム・フセイン被告の裁判を行っているのは普通の法廷ではなく、「イラク特別法廷」というフセインと旧政府の幹部を裁くために設けられた機関です。基本的にはイラクの法律に基づいた裁判になっていて、判決は5人の判事の合議で決められます。二審制で上級の法廷に控訴もできます。陪審員(ばいしんいん)などはいません。

5人の判事を束ねる役割を担っているのは、その1人であるリズガル・アミン裁判長です。アミン裁判長はイラク北部のスレイマニア出身のクルド人判事で、まだ40代と判事としては若いと言えます。フセイン政権下でもイラク国内で仕事をしていた経験があり、今回の法廷の裁判長に抜擢されました。

とてつもなく多い罪状の数

この特別法廷で裁かれるのはフセイン被告と、他の7人の旧政府幹部の計8人の予定です。そしてフセイン被告に対して裁かれる罪の数がとてつもなく多く、一説には100以上とも言われています。その中でも最も重いと思われる6つの罪状が以下になります。

・権力の座にいた35年間に、政治的・宗教的指導者を殺害。
・ドジャイルにおいて、1982年に143名のイラク人を虐殺。
・ハラブジャにおいて、1988年に5000人近くの人々を虐殺。
・1万人以上のクルド人を虐殺、または国外追放。
・1991年にイラク南部で蜂起したシーア派を弾圧。
・1991年のクウェートへの不法侵攻。

すったもんだの末に、ようやく最初の公判が2005年の10月19日と決定されました。まず審理されることになったのは、「ドジャイルにおいて、1982年に143名のイラク人を虐殺。」の罪です。

→この裁判は始まる前からすでにトラブルが多かったのでした。
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