コーチング/信頼関係作り

会議を生まれ変わらせる一つの質問とは?

仕事で避けて通れないのが会議。とはいえ、なかなか効率的ではありませんよね。そんな会議を生まれ変わらせる一つの質問があります。これは彼女との話もスムーズに進めてくれます。それはどんな質問でしょう?

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド

会議やデートで戦ったり、我慢して疲れていませんか?

仕事で避けて通れないのが会議。とはいえ、なかなか効率的ではありませんよね。 そんな会議を生まれ変わらせる一つの質問があります。これは彼女との話もスムーズに進めてくれます。それはどんな質問でしょう?

こんな会議をしていませんか?

「そんなプランはカネがかかりすぎる。」
「長期的に考えたら、今の段階で分けるべきだ!」
「それじゃコミュニケーションが悪くなるよ。」
「コミュニケーションの問題は別だろう。」

これはある会社での会議の様子。社員の増加に伴うオフィスのレイアウトの変更について話し合っていますが、いろいろな案や意見が出てなかなかまとまりません。

「現状のままでいく」から、「パーティションを作って二つの部屋に分ける」、「机と棚を再配置する」、「レイアウト変更を機に、新しい机・棚を買う」、さらには、「古くなった壁を新しく塗り替える」までいろいろ出ています。

それぞれが、自分の案や意見の理由を説明し、他の人の案を批判し、だんだんと議論が感情的になってきました。

対立と疲労しか生み出さない会議

「お前のチームは売上目標を達成していないのに、言う資格があるのか?」
「いつも自分のことだけ考えて、ちゃんと連絡しないで勝手にやっているのはどこのチームだよ!」

議論はまとまるどころか、チーム同士の対立の様相を呈し、個人攻撃まで始まってしまいました。激しく議論を闘わせるメンバーがいる一方で、何の意見も言わずに呆れた様子で観ているメンバー、内職をしているメンバーもいます。

結局、議論はまとまらず先送りされ、部長に一任されることになりました。忙しい中で集まっているのに、せっかくの時間をムダにした気持ちで、むなしい雰囲気がただよっています。議論を闘わせたメンバーはイライラした表情です。

あなたの会社ではこんな不毛な会議をしていませんか? 
実はこんな会議も、1つの質問さえ問いかければあれば、もっとスムーズにいくんです。その質問とは……? 

価値判断せずに判断基準を聴く

「このレイアウト変更を機会に、新しい机と椅子に取り替えたらいいと思うんだけど?」

例えば、こんなふうにある人が何か案を出したときに、どんな反応があなたに起こりますか? まず出てくるのは、「それはいいなあ」、もしくは「それはダメだよ」といった価値判断です。

人は他人の意見を聴くと、ほとんど自動的に価値判断をしてしまいます。そして、口に出すかはともかく、そこから「いい」「悪い」の反応が出てくるのです。しかし、いくら「いい」「悪い」をぶつけあっても、議論はなかなか深まらず、まとまりません。

実はここで大事なのは、提案された案が「いい」「悪い」ではなくて、提案した人が「いい」と判断した基準であり、提案を聴いた人が「いい」とか「悪い」と判断した基準です。あなたはなぜ「いい」と思ったんでしょう? もしくは「悪い」と思ったんでしょう? そこには必ず何らかの判断基準が隠れています。 

「それによって、何が手に入るのだろう?」

ただし、「なぜ、そう思うの?」と聴いても、スムーズに、しかもストレートに判断基準が出てこない可能性があります。もともと、人は判断基準をちゃんと意識して意見を言ったり、価値判断をしていることはあまりありません。また、「なぜ?」と聴かれると、ついつい言い訳のように防衛的な反応になりがちです。このため、次のような質問と問いかけていくことがポイントです。

「それによって、何が手に入るのだろう?」

これが会議を生産的なものにするために必要な第一の質問です。誰かが何か提案や意見を言ったら、すぐに価値判断するのではなく、こんな未来を想定した質問を問いかけてみるのです。

このほうが、「なぜ?」と聴くよりも、前向きで答えやすく、素直な反応が出やすくなります。そして、この質問を実際にしてみればわかりますが、結果的にはこれによって大切にしている判断基準が見えてきます。1回だと判断基準にいかないとしても、この質問を重ねていくことで、必ず判断基準が浮き彫りになってきます。

先ほどの提案である「新しい机と椅子に取り換える」にこの質問をすれば、「パソコンが操作しやすくなる」「コンセントやネットワークLANケーブルが整理される」といった答えが返ってくるかもしれません。必要であればさらに同じ質問をしていきます。

すると、「疲れにくい」とか「見た目がすっきりする」といった答えが出てくるでしょう。こうした判断基準に対して、「いい」「悪い」の価値判断ができますか?

判断基準に「いい」「悪い」の価値判断はできない

どうですか? 「新しい机と椅子に取り換える」という提案レベルだと、いろいろと価値判断が出てきたかもしれませんが、「疲れにくい」とか「見た目がすっきりする」という判断基準レベルになると、これらをどこまで重要視するかはさておき、「いい」「悪い」の価値判断は出てきません。感情的な議論になることなく、いったんは相手の提案を受け入れられるようになるわけです。

こうやって、提案や意見自体を議論する前に、「それによって何が手に入るのだろう?」と問いかけながら、その奥にある判断基準を明確にしていきます。そして判断基準を並べて、その優先順位や重み付けの程度を議論していくわけです。もちろん、優先順位や重みの度合いについては、人それぞれ違いがありますが、提案自体を議論することに比べると、比較にならないほど冷静な議論になることに気づくでしょう。

迎合せず、対抗しない男は女にモテる

「どこのスキー場に行きたい?」 
この質問はプライベートでも大いに使えます。特に女性との会話では必須です。こんなシチュエーションはよくありませんか?

「今度の休みにどこに遊びにいく?」
「どこのスキー場に行こうか?」

行き先を相談するシチュエーションです。これはまさしく意思決定。先ほどあげた会議での状況と基本的には同じです。彼女とめでたく意見が一致すればいいですが、毎回そういうわけでもないでしょう。

こんなとき、彼女に嫌われないようにと、「いいね!」と彼女の意見に合わせてばかりいれば、主体性がなく迎合しているとみられ、逆効果です。かといって、偉そうに自分の提案を主張して彼女に対抗するのも考えもの。

特に男性は女性に比べて、自分のプライドを保とうとする傾向が強く、ついつい自慢話を長々としたり、知識をひけらかしたり、さらには説教までする人もいます。こうなると、女性は全く付いていけず、自慢話にうんざりしたり、説教にイライラしたりします。こういうときこそ、先ほどの質問です。

「○○に行きたい」ということなら、すぐに同意したり、対抗するのではなく、次のような未来への質問をしてみましょう。

「そこに行ったら、何をしたい?」

彼女はいろいろと話をしてくれるでしょう。さらに、「それができたら、何が手に入るの?」といった質問をしたりすると、彼女が大切にしたい判断基準がだんだんとわかってきます。そこで、あなたが大切したい判断基準を、「おれは○○も大事にしたいから、こんなことをしたいなあ」と伝えていきます。行動レベルの意見ではなく、もっと深いレベルの基準を伝えるあなたに、彼女はきっと懐の深さを感じ、好感を持つでしょう。

たった一つの未来への質問が、会議も彼女もうまく収めてくれます。
一度試してみてください。

【参考文献】
■『会議が絶対うまくいく法』(マイケル・ドイル/デイヴィッド・ストラウス著 日本経済新聞社)
■『女は男のどこを誤解するのか―男と女“すれ違い”に学ぶ心理学 』(伊東明著 王様文庫)

【関連サイト】
■「会議を効率的・効果的に運営する」
■「目標設定のロケットを噴射せよ!」
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