快適性の質を左右する4つの要素
例えば、真冬の室内環境でよくおこってしまう現象に「温度は一定以上キープしているのに足元がやたら寒くて、それなのに頭はカッカしてぼんやり…」という状況はどうでしょうか。それはあまり快適だとは言えませんね。こういった現象はただ「温度」をあげれば解消するというものではありません。 室内の快適性の質を左右するものには、伝導、対流、放射、蒸発という4つの要素があります。
暑さ、寒さを左右する4つの要素「伝導」「対流」「放射」「蒸発」のイメージ図。
伝導とは
伝導とは熱が固体間を移動する現象で、例えばアンカで足を温める、氷枕で熱を取るといった方法はこの伝導を利用しています。対流とは
対流とは、水や空気の流れで熱を与えたり奪ったりする現象を言います。エアコンで暖冷房をする、扇風機で風を起こす、といった方法があります。暖かい空気は軽くなり部屋の上にたまり、下には冷えた空気が流れ込みます。エアコンだけで暖房すると、足元が冷え込み頭がカッカするのはこの現象によるものです。放射とは
放射とは、人間が周囲から熱を奪われたり、熱を受けたりする状況を言います。例えば、夏場トンネルに入ってひやっと感じたり、床暖房でじんわり空気を暖めるのもこの現象のひとつとなります。蒸発とは
蒸発とは、水分が蒸発するとき周囲から熱を奪う=気化熱=によって周囲を冷やす現象を言います。例えば、夏場に窓辺に緑を配すると涼しくなる、と言いますが、それは緑が太陽光を遮ってくれることと、緑からでる水蒸気が気化熱となり周囲の熱を奪ってくれるからです。人が快適と感じる環境は?
快適性を左右する、伝導、対流、放射、蒸発という4つの要素。この中で真冬の快適性、質のよい暖かさを得るために影響を与えるのは放射だと言われています。放射とはすなわち周辺からじんわり暖められる方法で、床暖房やパネルヒーターによる暖房を言います。特に床暖房は、エアコンの弱点である足元の冷えを解消し、エアコンのように対流(風)による暖冷房ではないため、肌が乾燥しにくく、特に女性から大きな支持を集めています。
エアコンによる暖房と床暖房による暖房の違い。
併用して温度差を解消
ただ、床暖房は立ち上がりに時間がかかるという弱点もあるため、エアコンで先に暖めておく「併用」もおススメです。またエアコンを使う場合でも、扇風機などを使って室内の空気を循環させると室内の上部と足元の温度差を解消することができます。次のページでは冬の室内の快適性に関わる基本事項を取り上げます。