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江戸・幽霊坂の謎(3ページ目)

東京、旧江戸の街に数多く残る「幽霊坂」を写真でご紹介します。なぜ「幽霊坂」が多いのか、「幽霊坂」に面した土地を売買する際の注意事項も合わせてご紹介。

執筆者:平野 雅之


ところで、なぜ東京都心部に 「幽霊坂」 が多いのでしょうか? これらはいずれも江戸時代から存在した坂です。調べてみたところ、 「江戸の坂 東京の坂」 (有峰書店・横関英一著・昭和45年刊) に記述がありました。それによれば、 「江戸の坂の名前は江戸っ子が付けた」 のだとのこと (行政:幕府サイドではない) 。そのため命名方法は単純明快で即興的。特に坂の名前にするお屋敷やお寺、お宮などゆかりのものがない場合、富士山が見えれば 「富士見坂」 、海が見えれば 「潮見坂」 、墓地のそばの坂などは 「幽霊坂」 だったようです。決して幽霊が目撃されたことに由来するものではありません。

名前が付けられた江戸時代には薄暗く、両側が墓地や寺、うっそうとした森などでいかにも幽霊が出そうな坂道だったところも、現代では墓地や寺そのものがなくなっていたり、住宅が建ち並んでいたりするようです。幽霊が出る可能性も年々少なくなっていくことでしょう。



ご紹介した 「幽霊坂」 はほとんどが公道。そこで公道に付される路線価を調べてみたところ、坂道であることによる評価減以外、特に価格への影響はないようです。

また、 「幽霊坂」 に面する土地・建物を売買するとき、不動産業者重要事項説明書で買主にどの程度説明してくれるのでしょうか? 坂の存在そのものは、現地を見ればすぐに分かることですから、買主本人が現地を見ずに買うのでない限り、特段の説明はないと思います (敷地内の傾斜等については説明義務があります) 。またその名称については、親切な業者は説明してくれるでしょうが、説明しなければならないものでもありません。

しかし、名前の由来となった墓地が隣地や向かい側などに存在する場合には、買主が知っているいないに関わらず、周辺環境の問題として説明しなければならないことです。また墓地が現存しなくても、近年まではあったような場合も同様です。売買するその敷地自体が墓地であったときには、トラブルの原因にもなりかねません。

もし “本当に” 幽霊が出る場合、これもきっと重要事項で説明しなければならないんでしょうね。



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