暮らしの歳時記/冬の行事・楽しみ方(12~2月)

節分の豆まきに落花生・ピーナッツはアリ?大豆にない驚きの利便性

節分の豆まきは落花生(ピーナッツ)で!? そんな風習はどこかの地方で本当にあるのでしょうか? 落花生まきの実態を調べてみたら、合理的な理由がありました。落花生の数え方も紹介します。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

節分の豆まきに落花生・ピーナッツをまくの謎!

節分豆まき、落花生・ピーナッツ?!

節分の豆まきに落花生を使う地方があります。その理由や数え方は?

新婚のAさん夫婦。初めて迎える節分を前にして、こんな出来事がありました。

夫「ただいま」
妻「お帰り~。あれっ落花生? おつまみ買ってきたの?」
夫「違う違う。もうじき節分だから」
妻「節分だと落花生が食べたくなるの?」
夫「違うって! 一緒に豆まきがしたいから!」
妻「なのにどうして落花生?」
夫「鬼は~外ってするため!!」
妻「???」

話が全く噛み合いません。大多数の方が妻同様「夫よ何を言ってるの?」と感じるかもしれませんが、「そうだ! 夫の行動は正しい」とエールを送る方もいるのです。
では、Aさん夫の行動を解明しましょう。
   

北海道・東北・信越地方では、落花生で節分の豆まきをする!?

本当に落花生(ピーナッツ)で豆まきをしているのか? 私自身、「落花生だと小さい子でも安心なのでいいですよ」とか「掃除が楽だから落花生にしました」という話は知っていましたが、風習として存在するものなのか気になります。

友人・知人に聞いても限界があるので、ネット上で幅広くリサーチしてみた結果、なんと、北海道、東北、信越地方ではおよそ8割以上の方が落花生を使っているらしいのです。また、九州(特に鹿児島県と宮崎県)や千葉でも3割程度の方が落花生を撒くらしいということが分かりました。
 

節分の豆まきに落花生を使う理由が実はとても合理的

家庭では落花生が主流の地域でも、寺社ではさすがに大豆を撒くそうです。家庭用豆まきのルールもチェックしてみてくださいね。
北海道、東北、信越地方では当たり前の落花生による豆まき。その実態を調べているうちに驚きの発見がありました。
  • 落花生は殻付きのままで撒きます
  • 撒いた落花生を拾い集めて食べます
大豆の場合、撒いた豆と食べる豆とは別という方が多いのですが、落花生の場合、撒くものと食べるものが一緒なのです。

なるほど、殻付きですから中身はきれい、大きいから拾うのも簡単、小さなお子さんでもそこそこ安心。とても合理的なシステムです。そこで、疑問が……。
 

豆の数え方は落花生の場合、殻付きの状態で? 中身=ピーナッツの数?

年の数だけ豆を食べますが、落花生の場合、殻ごと数えるのか?それとも中身(ピーナッツ)で数えるのか?気になりませんか。

早速リサーチしてみたところ、ほとんどの方が殻付きの状態で数えるそうで、中身を出して数えるのは、地域性というよりも家庭での習慣という感じです。「年を重ねると量が多く、吹き出物や鼻血が心配になる」という切実なご意見もありました。
 

いつ・どこで・なぜ? 節分で落花生を撒くようになったのか

節分に落花生をまくのはなぜ?合理的な理由から、落花生をまく人が増えています

節分に落花生をまくのはなぜ?合理的な理由から、落花生をまく人が増えています

北海道、東北、信越地方では、節分にスーパーでも落花生が並ぶのが当たり前となり、もはや節分の風習として定着したそうですが、伝統的な大豆から落花生に変化したのは「昭和30年代、北海道から」(全国落花生協会)だそうです。

なぜ北海道なのか? 開拓文化で物事を合理的に考える道産子は、「雪の中でも落花生なら拾いやすい」「食べ物が粗末にならない」「大豆は夏の豆だが、落花生は秋冬の豆。カロリーも高いので寒い地域で好まれる」などの理由から落花生を撒くようになり、それが雪の多い東北や信越地方にも広がっていったようです。

鹿児島県や宮崎県、千葉県でも落花生を使う方がいるのは、「鹿児島に落花生の産地があるから」「千葉は落花生の産地だから」という説が有力でした。

また、「掃除しやすい」「無駄にならない」「小さい子がいるから大豆より安心」などの理由で落花生を用いる家庭も全国的にちらほら。これはそういったおすすめ情報によるものと思われます(私自身もそういう情報をメディア発信したことがあります)。最近は、落花生をまく習慣がない地方でも、大豆だけでなく落花生を売っている店が増えています。

これで、最初に登場したAさん夫妻のやりとりにも納得がいきました。Aさん夫は北海道出身です。
 
何これ?……はい、節分ですから。
ちなみに北海道ではチョコレートなどのお菓子を撒くのも人気だとか。開拓精神が息づく文化背景が、次々と新しい“波”を起こしているようです。

▽こちらも新しい“大波”です
恵方巻きの方角、今年の節分は?由来・食べ方・ルールを知り開運!

▽でもやはり、伝統は大事にしてください
節分の豆まき仕方・やり方!ルールや作法・大豆の理由・年の数とは?」


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