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ゲーム音楽の未来を考える(3ページ目)

ドラクエ、FF、マリオブラザーズ…。懐かしのゲームから、ゲーム音楽はどう進化してきたのか?

山道 健介

執筆者:山道 健介

プレイステーションガイド

次世代機での正統進化

『メタルギアソリッド4』。テーマ曲が流れるだけで懐かしく、そして新しい。
PCエンジンCD-ROM²、メガCDなどのCDを利用するゲーム機では、まずCD-DAのオーディオトラックに音楽を収録するということが行われた。
これはCDを再生するのとなんら変わりなく、ゲームはシーンによって音楽を切り替えるだけだった。

しかしこれにも制約が多く、音楽再生中の読み込みが出来ないため、音楽データを適宜読み込みながら再生するというストリーミング再生が台頭した。
現在でも多くのゲームが対応するストリーミング再生は、圧縮再生技術の成熟によってCDと比べても遜色ない音質を獲得した。

ゲーム音楽はこのレベルになってくると「録音した楽曲を再生する」という点で従来のゲーム音楽としての特異性を失い、純粋にBGMとしての存在になっていった。もちろんそれでも「ゲームの邪魔をしない」で、かつ「進行を盛り上げる」存在として映画音楽とも純粋な楽曲とも違う道を歩み続ける。

しかしPCやゲーム機で、よりインタラクティブな存在としてのゲーム音楽が登場する。有名なのが『メタルギアソリッド』のBGMだ。
『メタルギアソリッド』では、敵に発見されることでBGMが緊迫感のあるものに切り替わる。その後、静けさを取り戻すにしたがってBGMも徐々に落ち着きのあるものへと移り替わっていく。時間制限のあるアクションゲームで、時間がなくなってくると音楽がテンポアップしてユーザーを急かすというのがあったが、あれが高度に進化しアンビエントミュージックと融合した形だ。

シーンに合わせての動的な変化というのは、実にゲームに合う手法といえる。

また、PS2あたりからチラホラと見られた、ドルビーデジタル対応によるサラウンドへの対応が次世代機の登場により加速した。
現在発売されている多くのゲームで、5.1chから7.1chへのサラウンド出力に対応している。これに伴い効果音などはサラウンドで出力されるが、音楽についても多チャンネルで再生されているものがある。
シーンによりインタラクティブに変化する、という意味ではこれもゲーム的なアプローチと言えるだろう。

それ以外に目立つのが回顧主義的なアプローチである。

ゲーム音楽の持つ懐かしさ

DSで発売された『世界樹の迷宮』などは、どこか懐かしいグラフィックとシステムでオールドゲームファンに多いに訴求した。楽曲も古代祐三氏が担当するなど、古くからのゲームファンに向けたアプローチが功を奏してヒット作となった。

「チップチューン」という音楽ジャンルがあるとおり、ファミコン時代のチープな音源が奏でる耳に残りやすい旋律は、古い映画や懐メロを懐かしむような郷愁を感じさせる。

高度なハード性能によって過去の制約から解き放たれたゲーム音楽。
しかし、それは制約が生み出したゲーム音楽の特異性を失い、今やインタラクティブ性や多チャンネル再生といった新たな技術を得た新しいものになっている。

古き良きゲーム音楽と、最新技術を駆使したゲーム音楽。
どちらもゲームに欠かせない存在なのである。

と、言うわけで次号のメールマガジンではもう少し筆者のゲームミュージックの思い出にお付き合いいただきたい。
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