散歩/昭和を振り返る散歩ルート

中野~新宿 消えゆく昭和 再開発地区を歩く(4ページ目)

中野長者の足跡を訪ねて、再開発の進む旧淀橋地区を歩き、熊野神社、十二社温泉につかる散歩。再開発が進む西新宿を見つつ、消えゆく昭和に思いを馳せる。街は絶え間なく変わりゆくのだ。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

西新宿の十二社温泉から角筈へ

旧角筈地区。ビルと民家に挟まれ、路地が続く
僕たちは青梅街道を渡って、今度は西新宿地区に足を進めた。

青梅街道と甲州街道を垂直につなぐ十二社通りである。社は「そう」と読む。十二社というのは熊野神社のことである。駅に近い西新宿はすでに開発が進み、大きなビルが立ち並んでいるが、十二社通りを歩いた。左側に入ると、なるほどまだわずかに残っている小さな路地があった。

Nくんは昔ながらの玩具屋を見つけて、ほこりまみれのプラモデル「マクロス」を買っている。何度か路地を抜け、再び十二社通りに出ると、「熊野神社」という交叉点に出る。

ここ熊野神社は、中野長者、鈴木九郎が故郷からここに持ってきたと言い伝えられている。神社の敷地は新宿中央公園とつながっていて、広大な森林の一角となっている。5月の風と日差しが実に気持ちいい。

路地を抜けたところにあった玩具屋。昭和50年代から時が止まった錯覚に襲われた
再び十二社通りに出て、甲州街道方面へ坂を上がる感じで歩を進めていくと、新宿十二社温泉へ。木曜日は定休日だが、この日はゴールデンウィークということで特別に営業していた。ラッキーだ。

この温泉は、夏の散歩の途中に僕はよく立ち寄る。なぜかといえば、ここは冷泉なのである。もちろん加温したお湯もあるので、冬でもOKなのだが、やはり夏のほうがついつい足が向かう。

というわけで、全員で入浴。銭湯ではなく温泉なので、入浴料は1900円。タオルの貸し出しが200円なので、合計2100円である。お湯はコーラ色というか真っ黒。座敷があって、入浴後はここで、くつろぐことも可能。ビール好きの樫原さんは、おいしそうにビールを飲んでいた。

さて、再び歩く。

十二社通りをまっすぐ行くと、甲州街道に当たったところに「角筈区民センター」があった。ああ、ここに名前が残っているんだ。僕たちは新宿駅方面に歩を進める。

街に点在する旧町名の名残。地図からは消えたが、街にはまだ息づいている
現在の西新宿3丁目あたりが角筈3丁目。かつてこのあたりは「角三」と呼ばれていたそうだ。ふと、陸橋を見るとそこに「角筈」の文字。ああ、これを見たことがあったのか。角筈の由来は、一説には熊野神社に関係があるらしい。ここにいた僧侶たちが鹿の角の杖を持っていて、そこからこの地名になったそうだ。

ともあれ、昔は新宿駅周辺は角筈と呼ばれ、市電が走っていたころ、停留所は角筈という名前だったそうで、年配の人々にはなつかしい名前だろう。
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